Novel/Short

サンデイ 01

フられた。

それはそれは見事な散りっぷりだ。彼女から電話が来たからデートのお誘いかと思いきや、
「青木くんは優しいけれど、優しすぎてドキドキしないの。ごめんね、別れて?」
だぁーってさ。付き合ってってしつこく迫ってきたのはあっちなのに、身勝手すぎると思わない?そんな理想的な恋愛がしたいなら乙女ゲーでもギャルゲーでもすればいいんだよ。リアルの男に幻想を抱かないでほしい、鬱陶しいから。

「なあ、与一。そう思わない?」
床に座っている俺より少し高い位置…ベッドの縁に腰掛けている与一に同意を求めてみる。与一は慌てたようにパッと伏せていた視線をこちらに向けて、弱々しく笑った。
「え?あ…ああ…うん、そう、だね…」
「…?どうした、具合悪い?」
「ち、ちが…違う、よ。大丈夫」
俺を安心させようとして失敗した、そんな表情。最近の与一はいつもこんな感じだ。俺、知らないうちに何かやっちゃったのかな…。


目黒与一は幼なじみ。絶賛引きこもり中の高校2年生だ。癖の強い黒髪と野暮ったいメガネ、それから引っ込み思案でオドオドした態度が与一の印象をマイナスにしている。
でも、すごく優しいし、自分の意見とか意志だってちゃんと持ってる。なかなか言葉にできないだけだ。
だから、もし俺が与一の気に障るようなことをしてしまっていたら、ちゃんと「嫌だ」って言ってくれるはずなんだ。


「与一」
「何?」
「俺、今日帰る。お前調子悪そうだし。早く良くなりな」
立ち上がって与一の正面から、伸びまくりの黒い癖っ毛をぐしゃぐしゃとかき混ぜる。
「ま、まって…待って。えーた」
えーた、栄太。自分の頭に乗っていた俺の手を掴み、熱に浮かされたかのように繰り返し俺の名前を呼ぶ。
「…与一?」
眼鏡の奥…一筋の涙が、日に当たらない白い頬を伝った。


 
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