Novel/Short

03

「ごめんな、昨日は怒鳴ったりして。怖かった?」
「ん…でも、俺がわる、いから…」
俯く与一の額にいつかのようにデコピンをお見舞いする。
「学校に行って、髪も切って…全部俺のために頑張ってくれたんだよね?お前はなーんにも、悪くないよ」
「……」
「でも、俺は欲張りだし、優しくもかっこよくもない。嫉妬深いしね」
「え…?」

「お前は、俺が好きなんでしょ?…俺もお前が好き。だから、お前は俺だけを見てればいいの。ドゥーユーアンダスタン?」

びっくり、というより、何が起きているのかさっぱりわからない、と与一の顔が言っている。
そのポカーンと開いた口に人差し指を突っ込んだり抜いたりしてみた。…何も起こらない。

…たっぷり1分は遊んだ頃、やっと意識を復活させたらしい与一が困惑したような声を出した。
「さて。与一くん、お返事は?」
「……い、イエス、アイドゥー…」
「ははっ、いい子いい子」
柔らかな髪を撫でて、いい子にご褒美をあげるために耳元で囁く。
「ハグとキス、どっちがいい?」
「…ハグ」
「…本当、お前かわいいね」

触れる温もりは、これまで感じたどんな体温より温かくて、優しくて、安心する。
…ああ、本当に、心から人を好きになるってこういうことなんだ。


「えーた」
「ん?」
「大好き、だよ」
「…俺も」


 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -