Novel/Short

02

さぁちゃんにお礼を言って、さぁちゃんが大好きな甘いミルクティーを淹れる。白い湯気を立てるマグカップを手渡すとすごく喜んでくれて、俺も嬉しくなった。

それから2階の自分の部屋へ戻って。
…ケータイの画面とにらめっこを始めて早30分。
元々話すのが苦手だし、電話だと緊張してもっと上手く喋れないからメールを送ろうと思ったんだ。えーたに。
でも、何て書けばいいんだろう。
そのまんま、『困らせちゃってごめんね』?それとも…。

頭を抱えてベッドに頭まで潜り込んだとき、手の中のケータイが震え出した。電話だ。

「…も、もしもし…?」
『与一?』
「えー、た」
『…なんか声こもってない?あ、また布団に潜り込んでんだろー』
…えーた、実はエスパーだったの?
思わず黙ってしまった俺の耳に、小さくえーたが笑う声が入る。
『んー、まあいいや。明日さあ、昼過ぎ…1時頃にそっち行くから』
「え…?」
『…返事、しなくちゃ…な?』

一瞬、頭の中が真っ白になって。
何にも聞こえなくなって。
えーたの言葉が何度もリピートされた。

「え、えーた…」
『んー?』
「ご、めん、ね」
『…は?』
「困らせ、ちゃった…よ、ね」
『……』
「ごめんね」

沈黙が、耳に痛い。

『…ふざけんなよ、』
「え…?」
『ふざけんなっつってんだよ!明日首洗って待ってろ!このバカ与一!!』

ブツリ、ツー、ツー、ツー。

電話から聞こえるのは、無常な機械音だけ。


 
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