Novel/Short

フライデイ 01

最近のえーたは、いつも仮面をつけてるように見える。
昨日一緒にお買い物に行ったときも、いつもの笑顔とは何となく違って、すごく悲しくなった。
俺のせい…なのかな?えーたは優しいから俺にチャンスをくれてるけど、やっぱり本当は困らせてるだけなのかもしれない。
ごめんね、えーた。

それでも、俺はきみが好きなんだよ。


えーたと並んで歩く通学路に今日も感謝しながらお家に帰ると、仕事を終えてリビングで寛いでるさぁちゃんがいた。
「ただい、ま…」
「おかえり。どうしたの、そんなしょんぼりしちゃって。えーたくんと喧嘩でもしたの?」
さぁちゃんは座っていたソファーの端へ寄り、空いた場所をポンポンと叩く。座りなさいってことみたい。

指示通りに腰を下ろすと、さぁちゃんの水仕事でちょっと荒れた手が俺の手に覆い被さった。
「…けん、か…じゃな、い」
「そう」
「でも…困らせ、ちゃった…かも」
「困らせちゃった理由は、わかってるのね?」
「…わ、かってる、よ」
俺の手の輪郭を冷たい指先がなぞる。
少し前に、末端冷え性なんだって言ってたのを思い出して、ゆっくり動いていた指を握った。これで少しでも暖まればいいな。

「だったら、『困らせてごめんね』って言ってらっしゃい。えーたくん、いい子だからちゃんと聞いてくれるわよ」
「…そう、かな」
「そうよ」

ぎゅっと握り合った手のひらが、俺の背を押してくれた。


 
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