Novel/Short

02

「…えーた…?」
「んー?」
「……何でも、ない」
「与一、」
「何?」
「放課後、空けとけよ。女子に誘われても絶っ対断れ」
「…!わかった…!」

そんなに嬉しそうにするなよ、これ以上お前に人気が出たら困るだろ。
お前の魅力は、俺だけが知ってりゃいいの。


放課後、与一と一緒に近くのショッピングモールをぶらぶらする。
発売したばっかりのCDを買ったり、フードコートでハンバーガーを食ったり。ゲーセンのUFOキャッチャーでお菓子の大袋を取ってやったら子供みたいに目を輝かせた与一が可愛くて仕方ない。

「えーた」
「ん?」
「ありがと」
「おう、ちゃんと味わって食えよー?」
「ん!……えーた」
「んー?」
「好き…だよ」

ふにゃりと笑う与一。
俺も好きだよ、って言えたらどんなにいいだろう。
でも、どこかでこの笑顔を疑っている自分がいる。与一の愛情を素直に受け取れない自分がいる。
…ごめんな、与一。俺はお前が思ってるほどかっこよくも可愛くもない、ただのバカだよ。

今だけでいいから、この曖昧な笑顔に騙されていてくれないか。


 
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