サースデイ 01
与一がちゃんと俺のことを好きでいてくれてるのはわかってるつもりだ。
相手に強く出られたら断れない性格だってことも。
でも、俺は与一みたいに純粋じゃないから…疑ってしまうんだ。
本当に、お前は俺のことが好きなの?
なあ、与一。
昨日の放課後、与一はクラスの女子に誘われ…いや、強制連行されて、どこだかに遊びにいった。俺も誘われたけど即行断った。…だって、与一が女に絡まれてるとこなんて見たくなかったし。
俺の与一への答えは決まってるんだ。伝えるのが怖いだけで。
与一があと1歩歩み寄ってくれればいいのに…なんて思ってる俺は、間違いなく臆病者で卑怯者。
アイツ、こんな俺のどこを好きになったんだろうな。…もっと相応しい相手がいるだろうに。
「えーた…具合、悪い?」
後ろから大きな手が伸びてきて、俺の額に触れた。相変わらず与一の体温は高くて、何となく安心する。
「いや、大丈夫だけど」
何でそう思ったんだ?って意味を込めて与一を見上げると、眼鏡越しの黒い瞳が語っていた。大丈夫?ほんとに?えーた、痛くない?苦しくない?心配なんだよ…ってね。
「だって、朝、からずっと…眉根、寄せてる」
ああ、本当にコイツは。
「本当に、大丈夫だから」
与一の頬を撫でる。決して柔らかくはないけど、ニキビ1つない…与一自身みたいにまっさらな綺麗な肌。
何だか…無性に泣きたくなった。
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