Novel/Short

02

たっぷり時間をかけて口の中のサンドイッチを飲み込んだえーたは、真っ直ぐ女の子を見て。

「ごめんね」

あ、これ、余所行きの笑顔だ。

「え!用事でもあるの?」
「んー、ちょっとね」
誘いを断られたのが納得できなかったらしく、食い下がる女の子をえーたは軽くあしらって、プリンのフタを剥がし始めている。
「目黒くんは行くよね!?」
「え、いや…」
「放課後教室に残っててね!」
「ちょ…あ…はい…」
……女の子の迫力に負けてしまった。えーたと一緒に帰りたかったのになあ…。

女の子たちが離れていってからもえーたは俺の目を見てくれることはなく、ご飯を食べ終えると同時にさっさと机を元の位置に戻し、昼寝の体勢になってしまった。
さっきの笑顔はえーたが自分の感情を抑えてるときに浮かべる仮面みたいなもの。所謂建前ってやつ…に近いかな。

…また怒らせちゃったんだね、俺。


結局、えーたに謝るタイミングも掴めないまま放課後を迎えて。
「目黒くん、行こっか!」

俺、生きて帰れるのかなあ…。


 
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