Novel/Short-Short

ホワイト・アウト

リノリウムの床に座り込んだ先生の右手は、俺のワイシャツの裾をゆるりと掴んでいる。
何故か、俺はその手を振り払えないでいた。

「…せ、先生…離してもらえますか…?」
彼は小さく首を横に振り、ワイシャツを握る手に力を込めた。ああ、皺になる。
「どうしたんですか?」
ゆっくりしゃがむと、眼鏡のレンズの向こうの目と視線が合った。

化学の西崎先生。
銀のフレームの眼鏡と白衣の似合う、冷たい雰囲気を纏った先生。とても整った顔をしているので、女子生徒から人気がある。
俺は文系なので西崎先生の授業を受けたことはないけれど、友人がわかりやすい授業をする先生だと熱く語っていたのを覚えている。

その西崎先生が、俺にすがりついていた。

「…っ」
目の前の綺麗な顔に思わず息を飲む。男の俺がどきりとするぐらいだ、女子が騒ぐのもわかる。
一人納得していると、先生の薄い唇が動いた。

「……すき」

「え…」
発しようとした驚きの声は先生の肩に遮られ、俺は必死に彼の腕の中から逃げようと彼の胸を押す。白衣独特の硬い布の手触りと匂い、それから俺を包む体温に目眩がした。



「せーんせ、そろそろ俺帰りたいんだけど」
「ダメ」
「…そんなに好きなの?」
「もうお前じゃなきゃ満足できない」
「いや、流石にキモチワルイよ?匂いフェチにも程があるだろ…」
「うるさい!」






これまたりっちゃんこと陸瀬さんに捧ぐ!
変態の意味が違う気がする!もっとえろいことを期待されていた気がする!!
ごめんなさい!!!



 
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