an onlooker | ナノ


▼ 07

道なりに歩いていたら、無事に外に出ることができた。
真っ正面に正門がある。
見上げれば金色の空が広がっていた。

もう夕方か。
綺麗な夕日に、心が軽くなった気がする。
澄んだ空気が肺に染み込んで、自然と頬がゆるんだ。

それにしても、あんなにトリップしたいとか思ってたのに、実際してみると帰れるか不安になるものなんだなと思う。
しかし帰る方法が見つかっても、じゃあ帰るかと言われれば私は帰るのだろうか。
ただ私は、一応いつでも帰ることはできる、なんていう言わば安心感が欲しいのかもしれない。

冷静に分析していたらだんだん頭が冴えてきた気がする。
とたんに腫れている目が恥ずかしくなってきた。

目を冷やしたい。
どこかに水はないかな。

とそこで、立海のTシャツが視界に入った。
夕日が何かに反射してチカと光る。
まぶしくて一瞬ひるむが、とりあえず水の場所を聞きたいので目を細めながら話しかけた。

「あの、すみません!」
「ん?」
「水道の場所、を...え...」

ジャッカルだったーーー!!!
太陽光を反射してたのはお前の頭か!
くそ!イケメンじゃねーか!!
どいつもこいつも!!!
イケメンには近寄りたくないんだって!心臓バクバクするし怖いし!!

「水道?ああ、それならグラウンドのすみにあるぜ」
「ありがとうございます!!」
「あ、」

ジャッカルがなにか言いかけたのを無視して走り出してしまった。
ごめんジャッカル。でも不思議な安心感もすこしあった。
それにハーフイケメンだった。彫りが深いって罪だなあ。
また会いたい。遠目で。

せっかくトリップしたんだから、とことん立海を眺めよう。
ポジティブに考えたら、なんだか楽しくなってきた。
心持ちスキップで、グラウンドに向かった。



prev / next

[ back to top ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -