▼ 丸井先生
現在、私の通っている塾は夏期講習中だ。
朝から夕方まで授業はみっちりつまっていて、スケジュールを見るだけで吐き気がしそう。
今日は日曜日で自習だけど、また明日から地獄の授業がはじまる。
けれど負けられないと、グミの袋を破って口にいれた。
お菓子がないとやってられない。
机の隅にグミをおいて、少々不躾ながらも口をモグモグさせながら答案に丸をつけていく。
視線は答案からはなさず、手だけ動かしてグミを口へほうりこむ。
何回目かグミの袋に手をのばすと、
「え?」
グミはすっかり無くなっていた。
あれ?なんでだ?
だってさっきあけたばかりで、
数えるほどしかグミをつかんでない...
と、そこで机に大きな影がかかっていることに気付いた。
バッと上を見ると、丸井先生が口をモゴモゴさせながら答案を凝視していた。
「まるっ...丸井先生!?」
「お前一週間前より点数あがってんじゃん」
「あっはい、まあ...」
「よくやった」
わしゃわしゃと頭をなでられる。
嬉しくて思わず顔がほころぶ。
そんな私をみて頷くと、そのまま丸井先生は教室を出ていってしまった。
「...って」
はぐらかされた!!!
互いに不器用
(グミ、返してください)