「兄貴……」
「なに?」
「や、なに? じゃなくて、それは何?」
弟はそういって俺が持っていた"それ"を指差した。
「何? って猫耳付きのヘッドフォンだよ。結城から貰ったんだ。可愛いでしょ?」
「ドヤ顔しなくて良いだろ。」
微妙な顔をされてしまった。
あのオタク野郎とかブツブツ言っている。
もしかして、
「安心して、棗の分もちゃんとあるから。」
「いらねぇよ。」
欲しいわけではなかったらしい。
兄貴に何ちゅう物渡しとんねん。
とか聞こえる。寧ろ何で棗は関西弁を喋ったんだろうか。
「とりあえず、渡しとくね。」
「や、だから、いらねぇって。」
「絶対似合うのにー」
「付けないからな。」
自慢出来る事ではないが、俺達双子は自他共に認める女顔だ。
だから、絶対に似合う……はず!
ならば……
「必殺! チワワ目アタック!」
棗はこの目に弱い。
彼は意外にも可愛いものが好きだ。なので、可愛いチワワを連想させられ加護欲が掻き立てられるらしい。
「……っ。そんな目で見ても使わねぇからな。」ほら、揺らいできた。
「……っ絆されねぇぞ!」
〜〜〜10分後〜〜〜
「あ゛ー! もう! 付ければ良いんだろう! 付ければ!」
「おー! それでこそ我が弟!」
「……キャラ変わってんぞ。」
棗はしっかり絆されてくれた。
「……で、その携帯は何だ?」
「え、K009だよ。」
棗、変な事聴くなぁ……
同じ携帯使ってるのに。
「違う。何で出した?」
「そりゃ、もちろん写真撮るために決まって、あ、はずしちゃ駄目!」
「撮るんだったら外すぞ。」
「えーー! せっかく猫耳で2ショットしようと思ったのにー!ブーブー!棗のケチ!棗と2ショットしたいー」
駄々をこねてたら呆れた目をされた。
いやぁ、子供っぽい兄でゴメンなぁ。
2ショットしたいんだよ。
「……仕方ねぇな。」
「2ショットしてくれるの!?」
「あぁ。」
「やった!」
1+1=笑顔
写真には笑顔で写ってくれました。
兄:八千草 要(やちぐさ かなめ)
弟より子供っぽい双子兄。バカで優しい駄々っ子。
自他共に認める女顔。本人は気にしてない様子。寧ろ活用している。
変顔もお手の物。
弟:八千草 棗(やちぐさ なつめ)
兄よりは大人な双子弟。意外にも可愛いものが好き。苦労人かもしれない。
自他共に認める女顔。気にしている様子。
写真には笑顔で写りたい派。
ニコニコ超会議(2012.04.29)に行った時に猫耳付きのヘッドフォンを付けてる人が多数いたんです。
可愛くってつい。
突発的文。