「林田。部誌は書いとくから少し眠りなよ……」
「これは今日の担当の俺がやるべきだ。」
「でも、隈が凄いよ。俺が代わるから眠りなって。」
「だから……」
このやり取りをかれこれ10分は続けている。
いい加減に折れてくれないだろうか。彼の隈が日に日に強くなっている。
林田はテニス部部員と生徒会補佐をやっている。
だから、他の人達よりも疲れが溜まりやすい。
顔もキレイだから、人が近付けない。迂闊に近付いたら制裁という名の暴力が始まるから。
それに加えて彼は自尊心が高い。だから相談とかが出来ないようだ。
少し話が反れるが最近、転校生がやってきた。彼は今時売ってないようなボサボサな鬘と瓶底眼鏡の何時の時代の恰好だよとツッコミたくなる身なりだった。
しかし、聞いた話によると転校生はゴキブリホイホイならぬイケメンホイホイで生徒会長と林田以外の生徒会役員全員を落としたらしい。(書記は分からないが)
勿論、転校生に制裁(という名の暴力)が下るわけだけど、転校生はかなり腕が立つらしく、逆に病院送りにしたそうだ。
現在は転校生の同室の平凡君(転校生は親友と言っていた)が制裁を受けている。因みに平凡君のクラスはほぼ平凡君の味方らしい。
親友と言っていたが、平凡君は転校生にとってはただのスケープゴートだろう。
で、その転校生は林田に付きまとっている。
疲れている一番の理由はコレだろう
因みに、生徒会長と書記、林田以外は恋に現を抜かして仕事をしていないらしい。あ、これは秘密。
平凡君への制裁と転校生の行き過ぎな正当防衛の処理で忙しいというのに。
会長も林田も(書記)も2倍以上の仕事をこなしているこの状態で林田はテニス部のレギュラーまでやっている。
疲れが溜まらない筈がない。
彼に休憩を与えなければ直ぐに限界がくるだろう。
「決めた。無理やりでも俺がやる。」
「は?」
とりあえず、林田のシャーペンを奪う。返せとか言ってるけど聞こえないふり。そして、林田の体制を崩し俺に倒れ込ませる。
「ちょっ!何しやがる!? おい! 小林!」
「聞こえなーい。聞こえなーい。」
そして部誌を奪って、林田の頭を俺の太腿へ持っていく。
所謂、膝枕の完成。膝枕って呼ばれてるけど、太腿だよね。これ。
起き上がれないように、額の上に手を乗せ力を加えるのを忘れない。
「おい。手を退かせ。それとシャーペンと部誌返せ。」
あ、意外と冷静? でもないか。久々にこんな低い声聞いたし。
「退かさないし、返さない。林田は寝てて。」
「…… 小林。退かせ。そして返せ。」
強情だなぁ……
とりあえず少し低めの声で怒ったように、そして少し拗ねたように言ってみる。
「ダメ。林田は寝る。最近、あまり寝てないでしょ。それに少し痩せた。まさか食べてないとか言わないよね?」
「……」
そして、次は優しい声で諭すように
「だから寝てて。」
「わかったよ。寝ればいいんだろ。寝れば。」
「うん。林田は眠ってて。」
林田は漸く寝てくれた。俺が折れる気が無いことを悟ったのかもしれないな。
「って、はや。」
規則正しい寝息が聞こえてくる。相当疲れが溜まっていたのだろう。
「もう少し頼ってくれないかなぁ……」
自尊心の高い彼だから、俺が支えなきゃ。俺以外の誰かが林田の支えになるのはなんかムカつくし。
俺だけを
頼ってよ。
林田
自尊心が高めな、生徒会補佐。時期生徒会長確実と言われてる。
テニス部のレギュラー。結城と同学年。
オールラウンダー。技術で圧すタイプ。
本名は林田 蓮(ハヤシダ レン)
小林
テニス部レギュラー。結城と同学年。
顔はかなり綺麗な方。茶髪長身。足が速い。
因みに『人は見かけによらないってこの事か』のB先輩。
プレースタイルはビッグサーバー。
本名は小林 祐希(コバヤシ 祐希)消化不良感が……