セスさんから
セス様から5000hitお礼としていただきました!
展示許可が出たので展示しちゃうんだぜ!
○内容はクザサカの現代パロディです。
○二人のイメージとしては20代前後(原作で例えると41巻(中将ぐらい))
○クザンはともかく、サカズキのイメージが壊れて(崩れて)います。
それでも大丈夫ですよと言う方のみどうぞ。
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『おいっ!いい加減に離れろ!!』
『ちょっ!サカズキ引っ張んないでででででで!!』
〜★☆★☆★〜
『…何だそれは』
『可愛いでしょ?』
ミィ、とクザンがサカズキに差し出した掌の上で啼いたのは、産まれたばかりの白い子猫。
と言っても所々体が汚れていて少々汚い。
『…元の場所へ戻してこい』
『酷いっ!!サカズキのクセに!!』
『訳が分からんわぁっ!!』
と怒鳴ってみてもクザンは元に戻してくる気はないらしく、空いた方の手で子猫を優しく撫でてる。
『大体何処の野良猫か分からんのに拾ってくるな!!』
『イヤイヤ、野良猫じゃなくて捨て猫だし。…それよりもさぁ、サカズキ』
『…何だ』
『いい加減上がっても良い?』
『…あぁ』
子猫のおかげで忘れていたが、此処は玄関。
しかもサカズキがクザンの目の前で、腕を組んで仁王立ちしていたのでクザンは上がりたくても上がれなかったのだ。
『…落とすなよ』
『酷い…サカズキのクセに…』
『だから訳が分からんわ…』
そう言いつつもサカズキはクザンを通す。
が…
『…ちょっと待て』
『何?』
『何処行く気だ?』
『何処ってリビンg『先に風呂場行け!!』…はいはい』
リビングへ向けていた足を渋々風呂場へ向ける。
後ろで『“はい”は一回だ』と何処かの親みたいな言葉がクザンの耳に聴こえたが、クザンはとりあえず無視した。
『とっととそれを洗わんか』
『ちょっとちょっと…それって酷くない?』
そう言い再びサカズキに子猫を差し出す。
今度はミィー、と長めに啼いた子猫はサカズキを視て少し首を傾げた。
サカズキも子猫を視たがこれといって感想を言わない。
むしろ気のせいか顔が少し引きつっているように視える。
『…サカズキ〜』
『……何だ』
サカズキは子猫からクザンに視線を移すが、サカズキの目に映ったのはニヤニヤと妖笑を浮かべるクザンだった。
『サカズキって…』
『…だから何だ』
サカズキの目に一瞬不安が宿った。
『もしかして猫きら『さっさとそれを洗わんかぁっ!!』いだだだだだだっ!!』
クザンの言葉が終わる前にサカズキはクザンの髪の毛を鷲掴みにして思いっきり後ろへ引っ張った。
と、同時にクザンの悲鳴が風呂場に木霊した。
『ちょっと何するのよ…禿げたらどう責任取るつもり?』
『…そんなもの知るか』
そう言い捨てるとサカズキはさっさとリビングへ行ってしまった。
『あらら』
一人残されたクザンは己の掌に座らせた子猫を視た。
すると子猫はクザンの方を視てミィ、と再び啼き、後ろ足で耳の後ろを掻いた。
『まぁ…洗いますか』
服は脱がなくても良いだろうと思い、そのまま浴室に入り、シャワーを手に取った。
〜★☆★☆★〜
『…貴様、人から犬に成り下がったか?』
『え?せめて子供までにしてよ』
馬鹿だ、馬鹿が居る。
己の目の前に馬鹿が居る。
そうサカズキは心の中で罵った。
『一体何をどうしたらこうなるんだ?』
『暴れた子猫を押さえつけたらこうなりました』
クザンの聴き慣れない敬語に違和感を覚えつつも、サカズキはクザンと子猫を視た。
子猫はよほど気に入ったのか、それとも暴れ疲れたのかクザンの掌で丸くなっている。一方クザンは下半身はマシだが上半身が尋常じゃないほど濡れていて、お前は本当にクザンか?と疑いたくなるほど髪の毛が水分を含みぺしゃんこになっていた。
『この大馬鹿者が』
『もう分かったから怒らないで』
そうクザンはサカズキを宥めつつ子猫をリビングのダイニングテーブルの上にそっと置いた。
子猫は眠っているのか大人しく、一瞬だけ耳がピクッと動いた。
『じゃあ俺髪の毛乾かしてくるから』
『ついでに風呂入ってこい』
『あららそれもそうね』
そう言いクザンは風呂場へと戻った。
それを視たサカズキはふぅ、と溜め息を吐き椅子に座った。
『サカズキー』
『今度は何だ』
『俺が風呂入ってる間子猫よろしくねー』
『はぁ!?ちょっと待…』
サカズキが言い終わる前に浴室のドアがバタンと音を立てて閉まった。
『…ったく……!?』
立ち上がりかけたサカズキは椅子に座り直し前を視た瞬間、思わずまた立ち上がろうとした。
『…寝てたんじゃないのか?』
己の目の前で子猫がファ〜、と欠伸をしてサカズキを視た。
見事に綺麗な蒼い瞳だ。
体も綺麗になり、艶やかな白が魅力的だ。
『さっきの音で起きたのか?』
あの馬鹿め…貴様のせいで…!!
サカズキは再び心の中でクザンを罵った。
子猫はサカズキが軽いパニック状態とも知らずに、すっと立ち上がりサカズキの方へ近付いた。
『…!?!?』
子猫が近付いた事に気付いたサカズキは思い切り立ち上がった。
その勢いで椅子がガタンッと豪快な音を立てて倒れた。
それに驚いた子猫はビクッと震え数歩後退ったが、落ち着いたのかテーブルからピヨンッとサカズキの足元に飛び降りた。
『!?!?!?』
更にパニック状態に陥ったサカズキは大股で数歩下がった。
子猫もまた、サカズキに興味を示したのか比例するように数歩サカズキに近付いた。
『なっ…何で来るんだ!?』
何故己に近付いてくるのか理解出来無いサカズキは唯々後退る。
と…
…トンッ
『なっ!?』
無情にも壁がサカズキの逃げ場を妨げた。
足元に視線を移せば、今にも子猫が己に飛びかかりそうだ。
…誰か助けてくれ…
そう思った時だった。
『あらら…サカズキ何してんの?』
『…クザン?』
ナイスタイミングで現れたのは、上下白のスウェットに着替え、首にタオルをかけたクザンだった。
『…サカズキさん?』
『べっ…別に…』
今までに視た事のないサカズキを目の当たりにしたクザンは、思わず“さん”を付けたが、サカズキは普段通りを装い返事をした。
『別にはないでしょ…椅子倒しちゃって』
クザンはサカズキが倒した椅子を『よっこらせ』と言いながら元に戻した。
『……はぁ』
『溜め息吐いたら幸せが逃げるよ』
『…もう逃げた』
『サカズキらしくないねぇ』
『…うるさい』
『…なんか涙目になってない?』
『…気のせいだ』
『あらららら』
いつもより“ら”が多かった気がするが、サカズキは無視した。
と、同時に足の力が抜けてその場に座り込んでしまった。
『えっ…ちょっ…大丈夫?』
『…黙れ』
『…本当に大丈…』
ミィ、とクザンの言葉を遮るように子猫が啼いた。
サカズキは己の足元にいた子猫を思い出したのか、思わず足を引っ込めて体育座りの状態になった。
『あらら…ほ〜ら子猫ちゃんこっちにおいで〜』
クザンが屈んで手を伸ばし呼びかけると、子猫はミィ、と啼いてクザンの方へ走った。
その姿を視たクザンは『可愛い』と言ったが、サカズキは何処がだ…と思った。
どうやらサカズキには子猫が“白い悪魔”に視えるようだ。
子猫を抱き上げたクザンは『何か視ようかしら』と呟き、テレビの前のソファに腰をかけた。
その一部始終を視ていたサカズキは、なんだか居たたまれない気持ちになった。
今己の目に映るのは、クザンの背中。
…寂しい…
心に浮かぶのは滅多に感じない感情。
そして…
…憎い…
クザンの掌でくつろいでいるであろう子猫への感情。
二つの感情がサカズキの心をズタズタにして支配した。
『…何だろう』
そう呟くと、心なしか視界がぼやけてきた。
『…涙?』
サカズキは己の頬を伝う涙に気付いた。
気付いた途端に次から次へと涙が零れ落ちた。
『…何で』
ぼやける視界の中、なんとかクザンの背中を映す。
『クザン…』
“最愛の人”の名を口にした途端、一瞬だけ視界が透き通った気がした。
サカズキはゆっくりと立ち上がり、深呼吸をした。
『…クザン』
再び呟くと、クザンの方へと歩み寄り、最後の意地を張った。
『おいっ!いい加減に離れろ!!』
『ちょっ!サカズキ引っ張んないでででででで!!』
サカズキはクザンの腕を掴み思いっきり己の方へ引っ張った。
その拍子に子猫は驚いたのか、クザンの掌を引っ掻いたらしく、三本線の痛々しい傷が残った。
『ちょっとサカズキ!これ地味に痛…い?』
突然の出来事にクザンは驚いたが、目の前の光景に一瞬反応が遅れかけた。
『…サカズキさん?』
『………』
思わずクザンは本日二度目の“さん”を使った。
己の胸の辺りに、サカズキが顔を埋めている。
“普段の”サカズキなら絶対にあり得ない行動だ。
『…サカズk『何故だ』…はい?』
己の言葉を遮るように呟いたサカズキに、クザンは益々驚いた。
『何故私をかまってくれない…』
…“かまって”…
サカズキから聴いた初めての言葉。
クザンは一瞬己の耳を疑った。
『何故子猫ばかり相手にする…』
『…サカズキ』
『何故だ…クザン…』
途中途中涙声のように聴こえるが、それは恐らく気のせいではないとクザンは思った。
そして、サカズキがそんな事を言う理由は唯一つ…
『…寂しかった?』
『…』
クザンの言葉に、サカズキは無言で頷いた。
『…よしよし』
クザンは無傷の方の手でサカズキの頭を撫でた。
子猫に引っ掻かれた傷の痛みは、いつの間にかなくなった。
クザンはふと、子猫を探したが、すぐ視つかった。
ダイニングテーブルの下の奥の方で、子猫は丸まりこちらの様子を視ていた。
そんな姿を視て、暫くは出てこないなと判断し、壁に掛けてある時計を視た。
まだ寝る時間より少し早いが、たまには良いだろうと思い、サカズキに声をかけた。
『…ベッド行く?』
『…』
クザンの問いかけにサカズキは無言で再び頷いた。
『…よしっ』
それを肯定と確認したクザンは、ひょい、とサカズキを横抱きにした。
サカズキは一瞬ビクッ、と反応したが暴れることはなかった。
『クザン…』
『ん?』
寝室へ歩き出そうとしたクザンを、サカズキは小さな声で止めた。
『…優しくしろ』
『…分かった』
そう答えたクザンは、ゆっくりと寝室へ歩き出した。
〜★☆★☆★〜
『……ん』
暗い寝室の中、サカズキはふと目覚めた。
今何時か分からないが、恐らく深夜辺りだろう。
ぼんやりした状態でサカズキは己を後ろから抱き締めているクザンの手に触れた。
あの後、寝室でやる事をやった二人は今に至る。
クザンは疲れたのか、サカズキの肩口に顔を埋めたまま眠っている。
背中から感じる確かな体温に安心したサカズキは、もう一度眠ろうと思い瞼を閉じようとしたその時…
『…?』
なんだかシーツが引っ張られている感じがした。
気のせいかと思ったが、次の瞬間思わず呟いた。
『…貴様か』
…ミィ
寝室のドアが開いていたのか、シーツを登ってきた子猫がサカズキの目の前でちょこんと座った。
暫くした後、子猫は何を思ったのか、おもむろに立ち上がり、サカズキに近付いた。
サカズキは出来る事なら逃げたかったが、やる事をやって疲れたため動くことが出来無かった。
子猫はサカズキの顔の近くまで歩き、鼻を近付けた。
サカズキは子猫の行動を視ていたが、睡魔がゆっくりと襲いかかってきた。
『……っ』
…眠…い…
身体が徐々に眠る体制に入ってくる。
瞼も無意識の内に閉じようとしている。
『…噛むなよ…引っ掻く…な…よ…』
睡魔に勝てないと判断したサカズキは、未だに己の顔に鼻を近づけている子猫を一瞥して呟き、瞼を閉じた。
その瞬間、子猫に頬を舐められた気がするが、自然と嫌ではなかった。
5000hitのお礼文にいただきました。
何このサカズキ!ハァハァする。(変態か)
可愛いよ。可愛すぎるよ。
これは我が家のサカズキより可愛いんじゃないか・・・!?
よし。私も頑張ってサカズキ可愛くしよう。(違う方向に行ったよこの人)
セス様本当にありがとうございます!
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(10.07.04)