全自動冷却機能付マッサージ器の特化機能 / クザサカ
「サカズキ。マッサージしてあげようか」
「は・・・?」
「あらら。忘れた?」
クザンの突然の言葉に首を傾げるサカズキにクザンはそう呆れたように言った。
以前約束したことをクザンは律儀に覚えていた。
戦桃丸から貰ったあの器具のせいでサカズキの身が一時的に危険な状態に陥ったことだが、サカズキはすっかり忘れているらしい。
ならばあの時に言った言葉も忘れているのだろう。
「前言ったでしょ。マッサージしてほしいならオレに頼めって」
「・・・言うたか?」
「うん。言った。言った本人が言うんだから間違いない」
クザンはそう断言した。
その強い言葉にサカズキは曖昧ながらも信じたらしい。
そうかと返事を返して片付けた書類をトントンと机の上で揃えて、端っこに置く。
そして椅子から立ち上がった。
「なら頼むかのう・・・丁度色々凝っとったところじゃけェ」
「そうなの?じゃあ寝て寝て」
そう嬉々と言えばサカズキはコートとジャケットを脱いでソファに置いた。
そしてゆっくりと膝をついて、畳の上にうつ伏せに寝転がる。
「肩じゃないの?」
「今は上半身より下半身が凝っとるんじゃ」
「あらら。オレのせいか」
「っ・・・心当たりがあるなら償いじゃあ思うて早ようせい・・・!」
クザンの言葉の意味が理解出来たのかサカズキはそう恥ずかしそうに呟いた。
とりあえず返事を返してから、クザンはサカズキの足の裏を踏んだ。
「もっと下じゃ。下手くそ」
「はいはい」
そう命令されてクザンは言うとおりに少し下に移動した。
少し強めに踏んでも不満を漏らさない辺り力加減はこのぐらいでいいのだろう。
しばらく踏んで、もういいかとクザンは足から降りる。
そして今度はふくらはぎをやろうと足の親指でサカズキのふくらはぎを押した。
「いっ・・・!」
「え?痛い?」
「いや・・・いい。続けろ」
一瞬ひどく痛そうな声をあげたため少し心配になったクザンは少し力を弱めてマッサージした。
すると今度は不満そうな声で注意されてしまう。
「弱い」
「ワガママだなぁ」
クザンの言葉にサカズキは反論しなかった。
面倒だと思ったのだろう。
しかしサカズキからそう言われた以上は強めるしかない。
クザンは再び力を強めてグリグリと押してみる。
すると今度は強すぎたらしくサカズキは片足をじたばたとばたつかせて痛みをクザンに伝えた。
「何!?」
「じゃけェ痛いと言うとろうが!お前は中間というもんを知らんのか!」
「えぇっ・・・そうかぁ・・・?」
「もう足はええわい!腰でいい!」
サカズキに嫌がられてしまいクザンは溜息を吐いて足を離した。
普段ならせっかくやってあげているのに文句ばかり言うなと言いたいところだが、サカズキのいつもなら見られない無防備な一面に楽しさを覚えているのも事実だ。
幸いサカズキはクザンが何も言わずに言うことを聞いていることに対して不信感を抱いていない。
「じゃあ・・・」
クザンはサカズキの身体をまたいで、膝をついた。
そして身体をかがめてサカズキの腰に両手を当てる。
力を込めてぐいぐいと押せばサカズキは少し痛いのか声を漏らした。
「んぐっ・・・も・・・もうちっと強く・・・」
「こう?」
「っう!じゃけェ痛いわい!加減を知らんのか!」
「うーん・・・じゃあこれならどうよ」
クザンはそう言って手法を変えてみた。
あえて一点を強く押さずに、両手で腰を軽く押して上下に揺さぶる方法に変えてみる。
これなら痛くもない上に痛くした後は丁度よく感じるだろう。
「んっ・・・んっ・・・」
「どう?」
「んっ・・・気持ちええぞ・・・」
「っ・・・そ、そう」
サカズキがそう心底気持ちよさそうに声を漏らしたため、今までクザンの心に眠っていた欲情が顔を覗かせた。
しかしサカズキはそんなことに気がつかずに気持ちよさそうに畳に寝転がっている。
手はすっかり開いていて、身体から力は完全に抜けている。
そのためクザンが揺するたびにサカズキの身体がゆらゆらと動いた。
そして動くたびにサカズキの口から息が短く吐かれていて艶っぽく、クザンは思わず生唾を飲んだ。
「んっ・・・んっ・・・んっ、んっ、んっ・・・の、のォ・・・ちいとばかし早くないか・・・?」
「えっ?」
いつの間にかクザンは随分早く揺すっていたらしい。
しかしもう理性の半分以上が支配されているクザンはそれを止める術を知らない。
気がつけば少し息が荒くなっているような気がする。
とにかくサカズキにこの高まりを気取られないように必死に平常心を装うが、自分の高まりが強くなるにつれて無駄に思えてきた。
「サカズキ」
「ん?」
サカズキのそんな返事が意図せずしてクザンの理性を完全に蹴落した。
クザンは勢いよくサカズキの背中をすがりつくようにして抱きしめ、顔をうずめる。
それに驚いたサカズキはビクリと身体を震わせてクザンを見た。
「何じゃい!」
とりあえずそれだけを聞くとクザンはしばらくサカズキの背中に顔をうずめて何度か息を大きく吸って吐いた。
その後に勢いよく顔だけ上げて、自分の状態を少しオブラートに包んで伝えた。
「今度はオレが違うところ凝ってきた・・・」
「は?」
クザンの意味の分からない発言にサカズキはそう理解不能という声をあげる。
しかししばらくしてようやく意味が分かったらしい。
かーっと顔を赤くしてクザンを背中から引きはがそうと怒鳴った。
「バっバカか!お前はァっ!退けィ!」
「サカズキもマッサージしてよ。手か足か口で」
「誰がするかバカタレ!最初からそういう魂胆だったのかっ!」
「いやいや。最初は善意だよ」
「嘘をつけ!」
もう何を言っても信用してもらえそうにない。
ならばその気にさせてしまえばいいとクザンは少し身を乗り出してサカズキの耳元に自分の口を当て、お決まりの呪文を吐くことにした。
サカズキだって色々凝ると思うんだ。
あんな乳にプラスクザンがいるんだから。
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(10.07.18)