残酷な天子
        

「にぃにぃ・・・」

「ん・・・?」


久々に早く帰ってこれたサカズキは布団の上で寝転がって本を読んでいた。
すると下でサカヅキとテレビを見ていたはずのさかずきが起きてきて、自分の部屋にやってきた。
ドアからちょこんと顔を出してこちらを見ている。


「どうした。サカヅキとテレビを見とったんじゃなかったのか?」

「・・・・いっしょにねよう」


さかずきはひどく恐縮そうに呟いた。
そういえば今日は怖い映画をサカヅキと見ていた。
きっと怖くなり眠れなくなったのだろう。


「サカヅキはどうしたんじゃ」

「みながらねちゃった」

「ほうか・・・飽きちまったのかもな」


ちらりとあらすじだけ見たが、どこからどう見ても子供だましのような内容で、大人が見るには馬鹿馬鹿しい内容だったがこの幼い弟はどうやら本気にしてしまったらしい。
だからやめろと言ったのにとサカズキは溜息を吐いた。
そして優しく微笑み、布団をめくる。


「仕方のないやつじゃのう・・・ほら、来い」

「うん・・・」


さかずきは安堵したような表情を見せて、サカズキの布団にもぐった。
そんなに怖いのならば最初から見なければいいのにと思ってしまうが、まだ物事の程度が分からない歳なのだから仕方がないだろう。


「もう寝るか・・・電気を消すぞ」

「・・・やだ」

「わしがおるけェ。何にも来やせんわい」


そう言ってさかずきを抱き寄せてやると腕の中で小さく返事を返して来た。
それを聞いてからヒモを引っ張って電気を消すとさかずきが小さな手で自分のシャツを握りしめる。


「そんなに怖かったんか」

「うん・・・にいちゃんがねてから・・・こわかった」

「そうか」


話を聞きながら背中を撫でてやれば、さかずきは視線をサカズキからサカズキの胸へうつした。
そして何かを思い出したかのような表情を見せる。
テレビの愚痴でもこぼすのだろうかと言い出すのを待っているとさかずきは予想外のことをしでかした。


「っ!?」


突然小さな手でサカズキの胸に触れたのだ。
そしてその手を妙にいやらしく動かし始める。
本人は物珍しげに動かしているつもりなのだろうが、その動きがあまりにも愛撫に似ていてサカズキは複雑な快感を覚えた。


「バカっ・・・何すんじゃっ!」

「え?」


サカズキに怒鳴られてさかずきは素っ頓狂な声をあげて、サカズキを見上げる。
その表情は悪気など微塵もなさそうな顔で、サカヅキとは違う感覚を覚えた。


「だって・・・にいちゃんもやってるよ」

「っ・・・誰から聞いたんじゃっ!」

「にいちゃんが・・・にぃにぃのおむねはさわるときもちいいって」

「っ・・・あの野郎・・・!」


こんな小さな弟にまで妙なことを吹き込んでいるのか。
サカヅキの常識外れの行動に完全に頭に来たサカズキはそう奥歯を噛みしめた。
しかしさかずきはこれが常識であるかのような純粋な目をして笑っている。


「でもにいちゃんのいうとーり ぷにぷにしててきもちいい」

「バカタレっ・・・触るなっあっ・・・うっ・・・!」


しかしこの幼い弟にこの事をどう教えればいいのだろうか。
生半可な言い方では納得せずにまたやるのが関の山だろう。
いかに納得させるかが重要だが、弟の小さな手のせいで、サカズキの頭の中にはその納得させるための言葉が思い浮かばない。


「やっ・・・やめるんじゃっ・・・さかずきっ・・・はっん!」

「にぃにぃ。これなに?なんかかたいよ」


どうやら少し手を動かした際、すでに立ち始めていた乳首に触れてしまったらしい。
さかずきは興味本位でサカズキの乳首を指でつまんで引っ張った。
悪気はないため手加減などなく強く引っ張られて、サカズキは痛そうに悲鳴をあげる。


「いたい?」

「ったりまえじゃっ・・・あっ・・・ひぐぅっ!」


遠回しに怒ってもさかずきは胸から手を離さない。
つまんだまま好奇心の赴くままに指でクリクリと動かしてみたり、引っ張ったりしている。
それがだんだん快楽に変わっていくのをサカズキは認めたくなかった。


「さかずきっ・・・ィ」


拒否の意味を込めてそう呟けば、さかずきは一瞬表情を変えた。
まるで憧れのヒーローに見入った子供のような、まるで恋人のふとした仕草にときめいた男のような表情を見せる。
しかしサカズキにはさかずきが一瞬呆けたようにしか見えなかった。


「にぃにぃ・・・おかおまっかだよ」

「っ・・・!」


それはお前のせいじゃ。
そう言いかけた瞬間。突然戸が開いた。
一瞬誰かと思ったが消去法で考えればすぐに分かる。
次男のサカヅキだ。


「さかずき。悪いな。寝てしまっ・・・・!」


サカヅキは弟への謝罪の言葉を述べながら部屋に入って来て、一瞬黙り込んだ。
それもそうだ。
部屋に入ってきたら兄と幼い弟が布団の中で乳繰りあっているのだから、ショックを受けない方がおかしいだろう。
それに加えてサカヅキはただの弟ではない。
病的に兄を愛しているのだ。
こんな状況を見たらどんな変質な行動に移るか分からない。


「サカヅキっ・・・違うんだ・・・これは」


とりあえず弁解しようと口を開いた瞬間だった。
サカヅキはすごい剣幕でサカズキに詰め寄り、さかずきを引き離した。
思わぬまともな行動にサカズキは驚きを隠せない。


「さかずき。兄貴が嫌がってるだろう。人が嫌がることはしてはだめだ」

「あ・・・?」

「え?あ・・・ごめんね。にぃにぃ」


サカヅキの剣幕に押されてさかずきはそう謝って手を離した。
まだヒリヒリ痛む乳首を手で押さえながらサカズキはサカヅキを見る。


「寝るなら早く寝ろ。明日起きられなくなるぞ」

「うん・・・おやすみなさあい」


そう諭されてさかずきは身体の向きを変えてサカズキに背を向けて寝てしまった。
相変わらず寝るのだけは早いようだ。
もう寝息が聞こえる。


「・・・助かった。すまんな」

「あぁ」


サカズキはそう言って半分起こしていた身体を再び布団に戻した。
そして安堵の溜息をつく。
しかし頭が冷静になったところでふと忘れかけていた事実に気がついた。


「おい!ちょっと待て!」

「ん?何だ」

「考えてみりゃあ元凶はお前が・・・って何故わしの隣で寝る!」


先ほどのさかずきの言葉の事実確認をしようとサカヅキのいるところに振り替えればサカヅキはサカズキの布団に潜り込んでいた。
身の危険を感じて怒鳴ってはみたがサカヅキはそれが当たり前であるかのような顔でサカズキを見る。
背中には三男。前には次男という逃げ場のない空間に追い詰められたことにも気付かずサカズキは説教を続ける。


「大体お前がさかずきに妙なことを吹き込んだのが原因じゃろうがい!英雄気取りするな!」

「妙なこと?何だ?それは」

「っ!すっとぼけおってェ・・・っ」


そう怒鳴りつけようと思った瞬間、サカヅキはすっと人差し指をサカズキの口に押し当てた。
静かにのジェスチャーだろう。しかしその妙に色っぽい綺麗な指が目の前に突き出されるだけで自然と黙り込んでしまう。


「さかずきが起きる」

「っぐ・・・!」


珍しく正論を吐く弟の言葉でサカズキは渋々押し黙る。
それでも言い返せねば。そう思いサカズキは小声でもいいから文句を言おうとした。
しかしその前にサカヅキがその指を下に降ろして他の指を広げ、サカズキの胸に触れた。


「っん!」

「おれは本当のことを言っただけだが・・・?」

「余計なことを言うなと言うとるんじゃっ・・・っう・・・やめ・・・ェ!」


胸に触れたと思ったら次は服の上からいやらしく撫で回され、サカズキは拒絶の言葉を吐くがサカヅキがやめることはない。
そんなサカズキの心中とは裏腹にサカズキ自身のそれはどんどん熱を帯びて固くなっていく。


「余計なこと?本当は兄貴は胸をいじられるだけで勃起するぞとでも言おうと思っていたんだがな」

「っ!!」

「その方が子供には余計なことかと思ったんだが・・・こっちの方がよかったのか?」


半ば脅すようにしてサカヅキはそう呟き、笑う。
深くかぶったフードの下にある口元がニヤリと笑うの視認した瞬間、サカヅキは膝を曲げてサカズキの股ぐらに押し入れた。
そして膝をぐりぐりと動かしてサカズキの男根を刺激する。


「あっ・・・やめェと言うてっ・・・がぁっ・・・」

「あんなチビスケにいじられただけでこんなになるとは・・・意外とおれの努力も無駄じゃあなかったのか」


そう独り言のように呟きながら、サカヅキはサカズキに何かを急かすかのように愛撫を激しくしていく。
それにすでに気が付いたのかサカズキは首を横に降った。


「いいだろ・・・遠征でずっとしてなかったんだ」

「バカタレ・・・後ろにさかずきがおるんじゃぞ・・・・!」

「起きないさ。一度寝たら朝までぐっすり寝てる」


サカヅキの確証もない言葉にサカズキは不覚にも揺れ動いてしまう。
身体は熱くて、熱くてたまらない。
しかし後ろには幼い弟がいて、もし起きてしまえば取り返しがつかなくなる。


「なぁ・・・兜合わせでも素股でもいいから。抱かせろよ」

「ダメじゃ・・・・金は出してやるからっ・・・その辺で遊んでこいっ・・・!」

「・・・・・暇つぶしで言ってるんじゃないんだぞ」


サカヅキはそう憤慨したように言い、薄いシャツの上からサカズキの乳首をくわえこんだ。
そして舌で刺激したり甘噛みしながら攻めていく。


「言ってるだろう。兄貴が好きだと」

「じゃけェっ・・・わしらは兄弟じゃろうっ・・・兄弟が・・・こんなこと・・・」


いつこんな関係になってしまったのかは覚えていない。
ただこの関係が罪深くていけないことだとサカズキはよく分かっている。
しかしよく分かっているつもりだが、嫌だと声を大にして言えない。抵抗が出来ない。
それが実はそれほど嫌だと思っていない証拠なのではないかとサカズキは自分の感情に恐怖を覚えた。
無論サカヅキも兄がそんな葛藤を抱いていることを知っている。


「こんなにされといてまだ認めてくれないのか」

「っ・・・もう堪忍してくれっ・・・!」



そう今にも泣きそうな声を聞いて、サカヅキはそっと口を離した。
シャツは自分の唾液ですっかり濡れていて、近くから見なくとも乳首が際だって見える。
そのまま顔を上に移動させてサカズキの鼻の先まで顔を近づけた。
サカヅキの自分とよく似た唇が目の前でゆっくりと開かれて、歯列からピンク色の舌が覗いた瞬間、サカズキはどうしようもない衝動に突き動かされてサカヅキに抱きついた。
サカヅキは突然抱きつかれて驚きはしたもののすぐに口元をつり上げて、兄の身体に腕を回す。


「じゃあ・・・いいな?」

「・・・場所を変えたらな・・・・・」


後ろの幼い弟を気遣ってか、サカズキはそれだけ要求した。


ガーッと書いたやつ。グダグダサーセン
どんどん既成事実が出来上がる赤犬兄弟です。
三男は次男の真似をしているだけです。まだ4/4の純情な感情です。
でもセクハラをするのは次男がこれは愛情表現だ!と言い張っているからです。
次男はすでに4/4の性的な感情しか抱いていません。
隙あらば抱きしめたいキスしたいヤりたいお年頃。

----------------
(11.08.24)




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -