ときめき成分配合(ラメ入り)


昔々、それはそれは大層性格が品底ねじ曲がっている黄金の君主様が居ました。そしてそれはスイーツ屋さんの店主をしていました。
なんでこの性格が品底ねじ曲がっている(大事な事なので二回言いました)黄金の君主様がその巨体の見た目で似つかわしくないスイーツ屋さんをしているのかと言われると親戚の御家騒動と言う名の大喧嘩に嫌気が差してスイーツ屋さんをし始めたのです。
その強面の風潮でよくそんな少女趣味の店が開けたな。と言う突っ込みはしない方が良いと思いましょう。彼のプライドが掛かっているのです。どっかのお兄ちゃん溺愛大好きな義手剣士のせいで。

さて、時期もクリスマス。店主様もくしゃみをするレベルの寒さですが、まあこの世界では割とよくある事なのです。虎やクマ、犬の餌にされたりする程度の、よくある噺なのですが。
そんな矢先に、開店直前にお客様がやって来たのです。
「…何だ、客か。私に何の用だ?」
葦の国の生まれであろう、小さな少年がやって来ました。丁度自分の親戚と同い年であろう、その大人しい出で立ちだと思いましたが…買い物袋を持っていました。
「小僧、何かを買いたいならとっとと要件を言え。注文は?」
「ショートケーキ、アイスクリームのバニラ添えで小塩アイスクリームのクレープ付きで」
「注文の多い料理店か貴様は」
物凄いマシンガンの量で大量注文でクレーマーの類と勘違いしがちでしたが、彼の持っている買い物袋の正反対の片方の手に買い物リストらしきメモ用紙があったのでクレーマーではないと思いました。
「貴様、その大量のスイーツで何をする気だ?」
「…クリスマス会?」

「クリスマス会とは、誰とする気だ?さては両親辺りか?」

大抵がそうだろうと思います。クリスマスパーティーは家族と一緒にするものです。ですが、この陰湿な店主は家族と言う類のものは一切信用していません。何故って?何故なら、前にも言ったように親戚の御家騒動は、ちょっとやそっとの騒動とは違うのです。神々の喧嘩と言うのは、冗談で済ませておくべきというものではないのですから。
「えーっと…親戚でクリスマスパーティーするの」
「やはりか、…で、ラッピングか?配達でか?」
彼の問い掛けに、少年は意外な問いかけをしました。
「…ええと、大人数だから配達でお願い。できれば店主直属ので」

親戚と言っても、家族とかそういうのだと思っていましたが。まさか古き竜とその部下たちが大掛かりなクリスマスパーティーの準備を執り行うとは思っても居ませんでした。
「そこ、クリスマスのリースの飾りつけが良くないよ」
「あっすいません旦那!」
蛇人に大胆に命令する辺りまあ分からなくも無いですが、古の竜に命令するなんて…ちょっと待て、あの伝説の竜だぞ?神と竜の争いの中で最も偉い竜だぞ?何で子供に命令されるんだ?と店主は困惑していました。いや本当に。
『…そこの男、茫然としていないでさっさと手伝え。私も忙しい身だから』
誰に物を言ってるんだ…と思っていましたが、店主は渋々と手伝う事にしました。何故か飾りつけをしている子供の表情が楽しそうにしている…と気付かぬフリをしましたが。






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