死にきれなかった私のゴースト


「あの葦の客人を振り向かせるにはどうすれば良いんだろうな」
それは凶手の発言から始まった。王朝には個性豊かな人材が豊富にいる。王朝の布教活動を行う血の貴族、ヒャッハーがモットーの東国(竜の国・葦の国)、死の鳥を信仰しているチンピラ共…カラス山、白面の医者達。ある新人はルーン稼ぎの為にしろがね人を狩ったり、様々な人材が豊富にそろっているのは間違いないだろう。何故ならこの王朝の主は器が広い変ta…立派な君主であるのは間違いないのだから。
凶手が言っている『葦の客人』は、この自分が勧誘した侍なのだが、どうも胡散臭いと言わんばかりの目でこちらを見ている。勧誘をしようとしたら丁重に断られた。その上王朝の事を「汚い」と断言すると言う失礼極まりの無い存在だった。普通だったら処すに違いないが、こいつに喧嘩をすれば返り討ちに遭うのは間違いない存在だ。こうなったら何が何でも振り向かせて血の指に歓迎させるのかと言う事で、血の指の面子を集めて作戦会議をする事になった。

「はい、私から提案がある」
「何でしょうか、ネリウス様」
「ゆでエビで釣るのはどうでしょうか!」
「却下です」
ゆでエビは狭間の地人気の料理!あのぷりっぷりな旨みのあるエビを茹でて美味しいと評判で、海の幸が豊富な葦の国原住民にとっては美味しい料理なのは間違いないが、何かがずれている。そもそもそれで簡単に釣れたらこんな作戦会議は成立しないし、白けた目で見られるのは間違いないのである。
「…じゃあ、武器とかそんなんで良くね?」
「貴方は葦の国を何だと思ってるんですか」
「バトルジャンキーの国…グハァッ!」
凶手がエレオノーラから鉄拳制裁を受けている。当たり前だ。葦の国をバトルジャンキーの国と評されたとしたら地元民からしたらたまったもんじゃない…それはそうとエレオノーラはそもそも竜の国生まれなのであるが。そこんところ分かっているのだろうか。いや、分かっていないのかもしれない。やはりカッコウ騎士と言い鳥を信仰している奴らは総じて頭が…いや、彼等の名誉のために辞めておこう。
「…竜の心臓」
「それが欲しいのはお前だけだろ」
肝心のエレオノーラは自分自身の欲望丸出しの答えをお出ししてくる始末である。恋人のユラが泣いてるぞ。
すると、翁は何か言いたげそうにしている。
「……普通に相手の好みのものをあげる案を忘れている」
翁の鶴の一声で全員がそれをすっかり忘れていたのを思い出し、こうなったら何が何でも彼を振り向かさなければと言う使命感の結束を一つにさせたのであった。

…後日、彼の好みについて調べたが、肝心の好みが分からなくて本人に聞かざるを得なかったとかなんとか。






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