ミルクのような夜の中で


散々抱き合った後に深い微睡に落ちたと気付いた時は夜中になった事に気付いた時だった。あの時はがむしゃらに自分の自我が全部溶け合って抱き合いたいと言う事でどろどろになる感覚が未だに残っている。自分も彼女自身も合意の上で付き合っている話だ。つまりそういう関係であるが、自分でもこの時間が愛おしくなる感覚を味わいたくなるのは、何故だろうか。

「んぁ…」

彼女が目を覚ました。未だに寝ぼけているのか――シーツから真っ新な肌がずり落ちる。「まだ寝ていた方が良い」と自分が彼女の頭を優しく撫で上げ、そのままシーツをかぶせようとするが「起きていたい」と彼女は少し、口を尖らせる。しかし、早起きなものだ。こんなことなら、まだ寝ていた方が良いのではないのだろうか?(明日は休むと決めたのだから)
「…アーロン、少し腕を出してはくれないだろうか」
「何故?」

「ちょっとだけだから」
自分が渋々と腕を出すと、彼女は透き通る様な青い石が散りばめられた腕飾りを通した。
「これは?」
「貴方への贈り物」

…ここ最近、自分は休み無しで手伝いをしたり、買い物や見回りをしていた。気遣いをしなくてもいいのに――寧ろ、彼女こそ無理が祟って倒れてしまうと思ってしまうんじゃないかと思えるくらいだ。

「…こんな高価なもの、部外者の私じゃなくて他の――」
「貴方だから、受け取って欲しいんだ」

渋々受け取り、腕に腕飾りを通す。彼女のか細い腕が、自分の腕をなぞる。

「…似合っているよ。やっぱり、職人に頼んだ甲斐があった」
「そんなに大変だったのか?」
「…この鉱石は、毒が含んでいる。普通の人が触れば毒に蝕まれてしまう。だから職人に頼んで毒を取り除いて欲しいと頼んで加工して貰ったんだ」

何と。其処まで綺麗な石だと思っていたらかなりえげつない代物だったのか。…彼女がこんな自分の為に贈り物を贈ろうとしていたのは、正直な話『嬉しい』かもしれない。
彼女の頬を人差し指でなぞり上げる。

「…今日だけは、貴方の言う事を何でも聞いてあげるから」

ああ、そういえば今日は特別な日だったか。だから彼女が自分の事を積極的になるのも理解が出来た。
「じゃあ、少し…お願いしても良いだろうか」
「なあに?」
「――一日だけ、私と一緒に居て欲しい」
そんな直球な告白に、彼女は顔を真っ赤にさせる。それはそうだ。告白と何も変わりが無いのだから。
「…じゃあ、続き…お願いしても良いだろうか…」
恥らいながらも、自分を抱き寄せて…再び甘い情事の夜の続きを再開させた。確かに、甘い夜であることは、変わりは無いだろう。






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