或る昼下がり


クラスメイトと一緒に買い物をした。自分の大好きなアニメのグッズとか、将来の為に必需品なノートやカレンダーに、不足していたペンシルを購入した。特にあの最近出来たカフェ、焼き立てのアップルパイが凄く美味しかったなあ…。とふとした矢先でそんな事を考えながらも、クラスメイトと別れた後は自分は秋葉原通りのネットカフェに立ち寄った。ふとした先に、リュックからスマホの通知がピロン♪と音を出していたために、急いでそれを取り出すとスマホのSNSからクラスメイトのメッセージが届いていた。

『今、暇?こっちはアルバイトをしている時』
『うん、こっちは約束の時間に間に合ったところ。そっちは何かありましたか?』
『今ニュースで猟奇的な殺人事件が起きているから一人で外出するのは控えて下さいと言う通達あったでしょ?×××と一緒に帰る予定』
『え!?そうなんですか?!こっちはひとりで帰っちゃいました。どうしよう…』
『その約束の時間に待ち合わせている人と一緒に帰ったら?それなら大丈夫だと思う』

そんな日々の会話をスマホでポチポチと打っている最中、パトカーが数台通り過ぎていくのを感じていた。サイレン音が険しく響いている。
何処かで殺人事件が起きたのだろうか。クラスメイトのSNSのメッセージで不安が沸き上がるのだ。けれど、待ち合わせの時間に遅れる訳にはいかないのだ。


「元気にしていた?」
プラチナブロンドのボブカットのショートヘアーがやけに目立つ。海外でよく見る美少年ってこういう事を言うのだろうか。彼は、自分があるきっかけで知り合った同じ学園の海外からの留学生だ。
こうして色々話が合うからこそ仲睦まじく将来の事とか勉強について教えたり交換しているのだ。けっして、恋人のような関係ではない。あくまでも友人。と言う割り切りで何気ない会話を繰り返している。
ただ、一つ気がかりなのは――彼の経歴が一切分からないと言う事だ――教師陣達も「知らない」と口を揃えて言っているのだから。
でも、それさえ目を瞑ればさり気無い会話が出来る只のクラスメイトと言う割り切りも出来た筈だったが――。

「今日、殺人事件があったよね」

殺人事件?何?よく分からない…。目をぱちくり開ければ、彼は普段通りの筈なのに、ただならぬ感覚が自分を襲う。何?何が起きてるの?分からない…。

「――もしかしたら君は、何か関係あるんじゃないのかと思ってるけど――そうじゃないのなら、良かった」

そうじゃない?彼は一体何を言っている?ただただ茫然をしている横で、彼は「それじゃあ、僕は行くから」と言った後に、ネットカフェの自動ドアを開けて出て行った。後はただ、飲みかけのコーヒーとチョコレートケーキがからん、と音を立ててるだけだった。


あの後、その留学生の行方は、未だに知れていない。






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