届けられなかった手紙


拝啓:敦田ユヅル様

東京受胎の元となったミロク経典の写本と思わしき古典を修復してみましたが、一部損傷がかなり激しく、これを解読するのにもう暫く時間がかかりそうです。
しかし、必死の解読を試みた結果――一部を解読する事に無事成功しました。

「諸の声闇に告ぐ――我は未来世に於て、三界の滅びるを見たり」
…ユヅルさんの言っていたダアト…即ち魔界と、現実世界、そして天界の事でしょうか?それが何故、滅んだのでしょうか?私にはさっぱり分かりません。

「輪転の鼓、十方世界に其の音を演べれば 東の宮殿、光明をもって胎蔵に入る。」
東と言えば、あの場所ですよね?丁度、平の将門公の墓がある場所もあります。そこに何があるんですか?輪転の鼓?ベテル日本支部にあるアレですよね?

「衆生は大悲にて、赤き霊となり、諸魔は、此を追うが如くに出づ。霊の蓮花に秘密主は立ち、理を示現す。是れ即ち創生の法なり――」
その場所に創生の法が成されると言う事ですか?すみません、これ以上は力不足です…。

ミロク経典を最初に発見した者は、公園や病院で凄惨な殺人事件を起こしたと言われています。ユヅルさんが「それは悪魔の仕業だ」と断言するのならまあ、私は信じるしかないのですが…。
その経典が発見された場所は元ガイア教団本部にあったと言われています。ガイア教団は前述した通り、例の殺人事件でメシア教団共々壊滅状態になっていると聞きますが。
でも、一つ不可解なのは発見した者――氷川…えっと、名前何でしたっけ…は、行方が分からないんです。噂では、ガイア教団とメシア教団を皆殺しにした疑惑があると聞きましたが。私は当時の事を知らないのですが、切り抜かれた新聞で見ましたね。
…肝心な時に力になれなくてすみません。ユヅルさんがどうしても力になって欲しいと言いましたが、お役に立てたでしょうか。
…そして、妹さんが行方不明だと聞いてます。妹さん、見つかると良いですね。それでは、幸運を祈ってます。

■■■■■統合学園 図書委員会委員長より






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