遺塵の道を-1


行こう、此処よりも先に、千年より長い祈りの道を――。




親愛なる弟子へ。


この世界は酷いものだ。神への信仰は絶対だと言う事が決めつけられ、それ以外――多様性は絶対に許される事は無い。神への信仰は絶対。個ある者は絶対である。それ故に、王と言われる存在に忠義を尽くせ、他の者達への信仰は許さん……ああ、ベテル本部はある切っ掛けによって天使長のミカエルは復活し、ベテルは息を吹き返した。良からぬ事を企んでいる他の支部の者達やか弱き悪魔達は追われ、従わない者達は天使によって殺され、死に絶え…まるで、別の世界の千年王国の再来だ。

――あの世界は、酷いものだった。救世主と望まれた、造られた存在は…己が誰なのかを知らずに、闘技場でただ一人、生きて来た。
けれど、彼は掛け替えのない友人である少女の死をきっかけに、この世界を疑っていく事になる。酷いものだろう?少女の死は、彼等にとっては救世主の誕生のきっかけに過ぎない。
神への信仰は絶対。其れ故に、犠牲も血も涙も全ては無である事なのだ…。
――そして彼は、救世主と望まれた男と接触を果たす。明かされる偽りの千年王国の真実、魔界に棲む様々な悪魔、金剛神界の荒神達…。
やがて彼は、その救世主と望まれる筈だった男と、偽りの都を破壊し――何物にも縛られない、自由の世界を共に行く事になる。

そう、それが、千年王国の再来と言われる真実だ。この世界は長くはもたない。あの明けの事象がこの世界は繰り返されると言われている理由の、一つ。
だが、明星の事象の言い分も理解が出来ない。だからと言って、たった一人の人間を修羅地獄に陥れてまで、行う事がこれか?

多神の者達が立ち上がった理由もこれだ。結局は大いなる創造神に任せても、明星の王に任せても――同じことの繰り返しにしかならない…。

何れにせよ、この世界の王は誰かの手によって引き摺り下ろされるのも時間の問題だ。
――この世界の旅は、終わった。そして、繰り返されるこの世界の軛を、誰かが止める事を祈ろう…。






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