捻子巻く月の独白・2



昔々、古い大樹と霧に覆われた時代の世界は、古竜が支配をしていました。その中に、古竜の中で仲間外れの鱗の無い白き竜が居ました。
古き竜は白き竜を糾弾していました。お前は醜い、と。
白き竜も古き竜達を妬みます。鱗を持つ竜達を。

大いなるソウルを持つ者達との戦いで、白き竜は裏切ります。死にたくない、それだけの事で――彼等に古き竜の弱みを教えます。古き竜達は叫びます。「裏切り者!」と。

大いなるソウルを持つ古き王は、古き竜との戦役で喝采を浴びた白き竜に地位を与えます。侯爵と、とても豪華な書庫を。古き王は、その白き竜の美しさに魅入られていました。

白き竜は、書庫に籠り――鱗を作る為の研究に没頭していました。何人もの小人が消えたのでしょうか。何人もの高潔で美しい聖女達が犠牲になったのでしょうか。その狂った研究を、誰も咎める事が出来ませんでした。白き竜は、孤独でした。

ある時、書庫に侵入者が入りました。侵入者の正体は――小さな子供でした。

子供は、小人と神の間で生まれた子です。本来なら忌み人として絵画世界に送られる筈でしたが…ひっそりと神々の都に逃れていたのです。
その子供も、一人でした。白き竜は退屈凌ぎに、言いました。話し相手になってくれないか、と。
子供は、頷きました。そして、約束をします。…自分を人間として扱って欲しい、と。

子供は狂気に苛まれた場所で、ひとりで小さな読み聞かせをします。まるで祈る様に。
その子供は、到底叶いそうもない夢を持ち続けていました。

そんな願い、叶う筈も無いのに。と。

やがて、狂気に蝕まれた白き竜は、子供を追い出します。それは、最後の願望だったのでしょうか。

――彼は、未だに狂気に蝕まれたまま…死ねないままに居るのです。
そして彼も又、何処かが壊れたまま生きています。






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