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相互依存 と ある哲学の創造


古き闇――それは嘗て、黄金の国を滅ぼした深淵の主が居座った地でもあると言う。愚かな民は、蛇に唆されて深淵の主を掘り起こし、黄金の国ごと深淵に沈んだと言われている。自業自得、因果応報。それを何と言おうか。

車椅子に居座る老人は、深淵の逸話に思いを耽る。だが、闇という物は、時に心地よい存在なのだ。この老人は、竜と人と闇が共存する都の生き残りでもあり、生き証人でもあった。

サルヴァと言う都は、歌と祈りで眠りの竜シンに捧げて来た。シンはサルヴァに蔓延する毒を引き受けーー竜と人が共存する都として繁栄を続けて来た。深い底の都の王に、とても美しい王妃が付き添っていたと言われている。しかし、その繁栄も長くは続かなかった。

竜血騎士団と言われている不届き者たちが、サルヴァに攻め込んだのだ。平和を愛した深き底の王は語った。眠り竜を決して起こしてはならない。しかし、竜血騎士団の長であるヨアは、決してそれを聞き入れなかった。ヨアは王を殺害し、竜を討とうとした矢先に――シンを目覚めさせてしまった。それは、蓄積された毒が都全体に降りかかると言う災いを呼び起こしたと言う恐るべき過ちでもあった。

かくして竜血騎士団とその長ヨア、サルヴァは滅ぼされーー今でも、その聖壁の都は地下深くに存在し続けている。


しかし、その老人は正確に言えば『サルヴァの民』ではなかった。記憶喪失で彷徨っていた故に、この地に辿り着いた身。深き底の王は彼を拾い上げた故の存在なのだから。
『はて、王よ…その女性は?』
聖都が健在だった頃、王に進言を務める役をしていた時に――王に付き従うとても美しい女性が居る事に気付いた。
『異国(とつくに)から嫁いできたらしい。とても美しく、お優しいーーそして、畏敬を敬う事も出来る、美を兼ね揃えて来、私にこう告げたのだ。竜と共に共存するべきだ…と』
その女性は、穢れなく美しい存在なのは間違いなかった。しかし、疎い自分は分かっていた。その女は闇よりも深い『何か』を兼ね揃えていたのである…そしてそれは、自分にとっては懐かしい存在でもあったのだ。

自分は捕虜として捕まり――処刑される寸前に逃亡をした。逃亡し、竜血騎士達が居ない場所を転々した果てに辿り着いたのが…この場所だった。

その場所は、彼女と同じ闇より深い『何か』をため込んでいる場所であったーーそして、あの出会いを果たした事も、忘れていない。



ーーそう思いに耽っている間に、来訪者が現れた。さて、久々の来訪者だ。彼が不死であるか、それとも深淵に浸かる事を望むのか…試すとしようか。






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