さざ波めいた柩の淵






テラには神秘の秘境やまだ見ぬ伝説が秘められている所がある。常に天災か鉱石病(オリパシー)になるかの死と隣り合わせの探検家が求めてやまないもの。マゼラン曰く『探検とはロマンが常に付きもの』だと言うのだが、逆に秘密を求める余り破滅を迎える者も少なくなかった。イベリアの失われた技術やシーボーン然り、滅びたガリア然り、炎国の歳獣然り。どちらかと言えば自分は前者であろう。イベリアの失われし技術――即ちあの黄金時代の象徴である狂人号。カシミエージュの堕ちたる騎士――そして、今現在ロドスにシーボーンと深い関わりを持つエーギルの者達。


「――極東に正体不明の廃墟群が突如現れただって?」


それは一通の報告から始まった冒険譚の始まりだった。
トランスポーターのエリジウムの報告によれば、極東の地下に廃墟群があると言う報告があった。その地下の廃墟群は、高度な技術を誇った都市の滅びた跡地であるらしいと言うのが判明した。だが、その廃墟に入った好奇心旺盛の一般人は口を揃えてこう言ったらしいのだ「あの場所には化け物が居る」と。
その噂を聞き付けた極東政府は念の為に、軍を引き入れて調査した結果――その化け物が居る廃墟は、縄張りに入らなければ大人しいと言うのが判明した。杞憂である事が分かり、すっかりその噂は廃れていった。
「そう!でもその廃墟に神秘の気配を感じ取ったからさ、休暇ついでに探検でもしようかと思って」
「俺は錬金術に忙しいんだ…どうしてもと言うならセイリュウとアブサントを連れて行ったらどうだ?」
「あの二人と一緒で行動すると僕一人じゃ不安だからさ、ね?良いでしょ?」
確かにエリジウムの言う通りだ。まだ幼いセイリュウならいいが、チェルノボーグ事変の生き残りのアブサントは確かに危うい部分がある。エリジウム一人だと不安だろう。

――馬鹿馬鹿しい。

イベリアの残響は、未だに自分自身の中で木霊している。だが、テラには未だに解明されていない謎が多いのも又確か。
友人の付き合いで、未知の確かな残響を、確かめに行くのも良いだろうと微かな言い訳をしながら考えた。




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