...of end

さて、この物語も終わる。後に残されたのは、現実の物語か、そして夢物語か。


○月×日
ロストライト号でロディマス艦長主催のパーティをする事になった。ロストライト号が解体されるらしくて、皆と一緒に馬鹿やったりリップタイドやスワーブの世間話を聴いたりするのもこれで最後だ。寂しくなる。そしてラチェット先生が僕に後任を譲る事にしたらしい。ファルマ先生の事は…最後まで話さなかった。多分、彼の事を話すのは相当辛いんだろう。昔の僕みたいだ。とふと、あの時そう思ったんだ。アンブロン先生を亡くした僕みたいに…でも、ドリフトと一緒に居れば、大丈夫なのかもしれない。

△月●日
ラチェット先生がドリフトとCEを結ぶ事になったらしい。僕やホットスポット達は先生を祝った。僕がデルファイでウィルスパニックに巻き込まれた時、ドリフトの噂は巷に聞いているから(悪い噂しかないのは、当時の状況を考えるとしょうがなかったけど)どんな人物かなって思ったら、先生を困らせてくる朗らかな青年だった印象だった。でも、ドリフトとCEを結ぶ事になるなんて。おめでとう。と祝ったんだけど、少し寂しいような気がした。

○月◇日
メガトロンが裁判を受ける事になった。ロディマスやウルトラマグナスが何故、どうしてって制止したけど――僕は、メガトロンを引き留める義務が最初から無かった事に気付いた。ロディマスとメガトロンは、最初から立ち位置が違い過ぎたのかもしれないのだ。罪人である自分は、一緒にロディマスと居る権利など無いのだ。まるでそう言い聞かせているみたいだった。廊下を歩いていた時、ローラーとラチェットが会話していた。
「お前さんは止める義務など無いのか」
「俺だって本当は制止したい。だが、俺はプロールの気持ちを尊重する」
「…そうか」
「メガトロンを止める権利は無いかもしれないが、今はそっとしておいてくれ…頼む」
ローラーは何かを言おうとした。ラチェットも何かに気付いた。けれど、それが何なのかは分からなかった。

×月▽日
だって、こんな事って…嫌だ、嫌だ。どうして。ラチェット、先生(この先は涙で滲んでいて読めない)



「…ずっと、分かっていた事があるんです」
ファーストエイドは、ラチェットの墓標を見て、ぽつりと呟いた。
「だって、ラチェット先生はずるい人なんですよ。ファルマ先生の気持ちも、僕の気持ちも、アンブロン先生の気持ちも、ドリフトの気持ちも、メガトロンの気持ちも、最初から分かっていたんです。でも、敢えて伝えなかった。伝えていたら、どんなに楽だろうかって、そう思っていたんですね」
ラチェットは、ファルマの気持ちを最初から分かっていた。でも、伝え方が分からない人だったから、伝え損なってしまったのだ。自分は、本当は駄目な先生だと何処かで引っ掛かっていたのだろう。
「でも、ファルマ先生はそっちでラチェット先生と一緒に居られるんですよね。アンブロン先生と一緒に。ずるいですよ。僕もそっちに連れてって下さいよ。って本当はそう思いたいんですよ。……でも、まだ、僕はそっちに行けないんです。ホットスポットやグレイズが、悲しむから。だから、僕もこっちで頑張るから。ラチェット先生は……また、ファルマ先生に思い出話を咲かせて下さいね。ロストライトでの旅や、色々な事を」
ファーストエイドが日記を墓標に置き、立ち去った後――墓標には多く置かれているエンゲックスと、メガトロンの最後の置き忘れであるロディマスバッジだけが置かれているだけだった。

流れ星が、またひとつ堕ちた。

#prev - #next



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -