てんしがみるゆめ

この物語の続きを語る前に、一つだけ話をしていいかな?

天使様は確かに、人々を救うし、人類を正しい道に導いてくれる存在だ。でも、それは大きな間違い。何らかの理由を言い訳にして、天使と言う免罪符を使ってる。だから天使は虐殺や圧政を行ってる――そうだよね。オートボットも天使も、何も変わらないし、何も変わる事が出来やしない。あたしが言う言葉だからこそ、意味がある。
でも、誰かを救う方法は幾らでもある――手をさし伸ばす、仲間に引き入れる、傷を癒す――そして、殺す。殺すしか、方法は無かったのか?って言う疑問は、確かにある。でも――生かす事が救済に繋がらないって、この物語が証明してる。


「さて、ドクター。一つ問いをしておこう。此処に天秤があるとする。左右には一つだけ救える存在があるとしよう」

煩い、煩い。お前に何が分かる。冷酷非道なディセプティコンの貴様に、一体何が分かるって言うんだ。でも、結局私も変わらないじゃないか――患者を救うのが、医者であれ。私はそれを破ってしまった。だから、もう彼に合わせる顔が無いのだ。

「一つは、街が火の海になって悲鳴を上げている群衆――もう一人は、今にも死にかけている兵士」

私はどれを選べばいい?どっちを選ぶ事が『正しい』選択なのか?私は天秤に手を差し伸ばす――天秤は重さに達し、落ちた。

「答えは――誰も救えない。だが、貴方は『誇り高き医者』だった。それでこそ『医者』の務めだ」

やめてくれ、私は正しい選択を答えただけだ。だから、私の行いを否定しないでくれ――目を瞑って手を差し伸べる。そして前を見る。其処に一体のトランスフォーマーが居た。
手はハサミ型であり、一つ目と思われるモノアイ、そしてそのトランスフォーマーは、こう呟いた。

「僕は…………誰なの?」



目が覚める。ああ、あの悪夢の続きか。だが、考える内に――私は悟る。
(ああ、そうか…あの事件を経て、分かった気がした。お前も、寂しかったんだろうな…私と同じだ)
ただ、その夢が意味するものは、分からなかった。

(――結局、『神様』の身になっても、私は私のまま、か)


(私は天国にも地獄にも行けない)

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