凍えたパノラマ
「んで、俺が弓兵に狙われている若を守る為に、颯爽と弓兵を背後から攻撃して、若を助けたんですよ!」
「成程…今度、ミカヤが狙われた時にはその戦法を組み込む事も考えてみるか」
「じゃあ弓兵はあたしに任せるね!マシューは魔導士をお願い!」
「いやいやいや、俺は若様命だからな!じゃあ魔導士はガイア、お前に任せるぜ!レベッカー、期待してるぜー」
「何で俺!?おい、アズ…ラズワルド、笑いを堪えるな!」


ハハハ…と、食堂で弾んでいるマシュー達の姿を見て、ルーテは考える。プリシラがカミュについて気にしている。つまり、プリシラはカミュを見て何かを思い出した可能性は高い。だとしたら、カミュと関わりのある人物を探ってみる事にした。ジョルジュ、リンダ、ミシェイル、ミネルバ、マリア、パオラ、カチュア、エスト、ベルクト、アルム…思い当たる節が見当たらない。だとすれば、まだ可能性がある筈だ。此処はプリシラに尋ねるしか方法は無いだろう。ルーテが心の中でえいえいおー!と誓った途端に、カミュがミシェイルと一緒に、食堂に入って行った。
「いっつも行動しているのは、お友達なのかしら?」とラーチェルが困惑している表情をしていた。何時だったか、覚えていない。ふと、彼等の会話が聞き取れた。
「…で、最近その御令嬢が貴様を気にしていると?」
「ああ、そうだが……恐らくは、あの一件で」「そうか」
(つまり)
「一緒に出掛けた時に、彼女の言葉が…うん…」
(プリシラさんと出掛けた――つまり、彼女の方程式に考えると、ピクニックか何処かに行ってきたのでしょう。そして、彼女の言葉を考えると――やはり、カミュ将軍の過去に何か関係が?)
ルーテがその光景を見ていると――後ろからカナスが「何をやっているんですか?」と話しかけてきた。
「いえ、人間観察です」
「人間観察って…ああ、カミュ将軍の事ですか」とカナスは、何か納得した表情で見据えた。
「多分、彼等については、放っておいたほうがいいと思います」
「どうしてですか?私は非常に気になるのです」
するとカナスは――微笑み、こう答えた。

「あれが、彼等なりの答えなのですから」

(彼等なり、ですか)
恐らくは、自分が介入しなくても、無自覚に彼の善人さが――悩みを解決してくれるのだろう。ルーテはそう思い、魔導書を持ち、立ち上がる。
「カナスさん、有難う御座いました」
ルーテが立ち去った後、一人取り残されたカナスは――ちょうど部屋に帰ろうとしていたマシューを呼び出す。

「…マシュー、少し良いですか?」
「えぇ、何だぁ?」
「私の悩みも聞いてくれませんか」「は、はあ…」

恐らく、カミュについては…勝手に誰かが、悩みを解決してくれるのだろうから。



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