唯一神の溜息

「なあ、エリウッド公…」
「ああ、エリウッドで良いよ」とエリウッドはそう言い、軍馬の世話をしていた彼に対してのレイの態度にも丁重に対応している。流石フェレ公当主(今は若き頃の姿だが)と言いたい所だが、生憎彼はそんな悠長な事を聞く暇は無かった。
「…で、どうしたの?」
「…ちょっと考え事を、この機関に悪い奴らまで召喚されているんだろ?だったら、あんたらの憎い奴らまで召喚されていると共闘なんて生温いんじゃねえのかって考えているんだ…正直、院長先生も召喚されているなんて思いもしなかったよ…逆にナーシェンとかゼフィールとか召喚されて俺は驚いているんだけどな」
院長先生――その事に気付いたエリウッドは、ああ、と顔を上げた。エリウッドは軍馬を撫でている。
「確かに、ロイドやウルスラと対峙し、戦って悲しい事も辛い事もあった。でも、僕やヘクトル、レイヴァンと巡り合えた一つの運命なのかもしれないし、何かが変わったのかもしれない。…もしかして、運命が引き合わせたと言うのかもしれないね」
エリウッドはふふっと微笑み、レイは納得いかなさそうな顔をした…が、パオラがこの場所にたどり着いた時に話は一転する。
「…エリウッド公、少し話がしたいのですが良いのでしょうか」
「…君は……どうしたの、一体何があったんだ?」
「ええと、ヘクトル公がミシェイル様と口論しているらしく、私やカチュアじゃ抑えようもないんです。どうすれば…」
「大丈夫、僕が行ってくる…親友を止めるのも、親友としての果たすための事だ」
エリウッドはそう言い、目的の場所へと急いだ。ミシェイル――あの嫌な雰囲気を身にまとった竜騎士の王の事だろう。

「てめぇその態度でいい加減フロリーナに接するのやめろよ…流石の俺も堪忍袋の緒が切れたぜ」
「で、だから何だ?その小娘と俺が話しても何も問題ないが?」
「その人を小ばかにした態度だよっ!だいたいその態度で敵しか作ってこなかっただろうな!大凡見当がつくぜ!」
「ほう、図体がでかいと思ったら」
「何を――っ!」「やめるんだ、ヘクトル」
ヘクトルがミシェイルに今に突っかかろうとした瞬間に、ヘクトルの腕をエリウッドが掴み、制止した。
「…彼と、喧嘩なんてしてはいけないんだ。僕達は…こほん、今は…エンブラ帝国と戦う同志で、仲間なんだ――だから、喧嘩をしてはいけない」
ヘクトルはエリウッドの言葉に「分かったよ…」と拳を下げ、ミシェイルはふらりとこの場を後にした。
「…なあ、パオラ」
レイはパオラに問いかけ、「何でしょうか?」と彼女は答えた。彼女に対してはユーノとティトを思い出して、普通に接した。
「…正直、あの竜騎士は何で態度がでかいんだ?ヘクトル公のいう通り、今まで敵しか作って来なかったんだろ?」
「ミシェイル様は、昔父親を殺してマケドニアの王に即位したのです。其れでミネルバ様が彼のやり方に反対して、其れで敵対する形となって…」
パオラの言葉に、レイは
(――ゼフィールと同じだ、あいつは…)
と心の中で吐き捨て、しぶしぶこの場を後にした。

「…正直、彼と対峙した時は恐ろしい雰囲気を纏っていたけど、以外と親しみやすかったんだね」
エリウッドはそう言い、ヘクトルと一緒に部屋に戻っていた。
「俺は正直納得いかねえが」
「ハハハ、そう思うよね…けど、英雄の重みが、響いてくると、言動の行動に気をつけなきゃって思うから」
エリウッドは不穏な言葉を投げかけ…あの竜騎士の姿を思い返した。
(でも、彼に対して嫌悪感が沸かないのは…何でだろうか?)
答えは、出ないままだった。



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