白昼夢〜夢と現実

「こうやって話をするのは、何時以来だろうな。あの時のお前は、クロームドームと一緒に事件の捜査をしていたからな」
まだ評議会がセイバートロンで繁栄していた際に、彼はクロームドーム(あの時はタンブラーと名乗っていた)と一緒に事件の捜査をしていた。キナ臭い評議員の陰謀を捜査して、自分やオライオンの面々――ロディオン警察の彼等と一緒に大掛かりな捜査をしていたのが懐かしい。いや、プロールが変わったのではない。
(――自分が、変わってないだけだ)
当時の自分は、自身のコンプレックスに追い詰められていた。だから、その事をオライオンに告げられずにいた。サーキットスピーダーの一種である興奮を抑える薬をドリンクに入れ、それで自身を抑え込んでいた。だが、ロストライトに合流した際、それはあまり飲まなくなった。
(――いや、俺も…変わったか…?)
それを難なく受け入れてくれたロディマスや、メガトロンやラグとアノード、そしてスワーブらの存在が大きかったのかもしれない。だからだろうか。ドリンクをあまり飲まなくなったのは。
「ローラー、再び聞くが、お前は……私を恨んでいるか?」
「…いいや、恨んでなんかいない」
あの時も、今も――俺達は必至だっただけなんだろうな。ふと、そう考えた。ラチェットの葬式の後、ロディマスはサンダークラッシュの元に預けられるらしい。と巷にそれを耳にし、孤独と言うのは、寂しいものだろうな。と考えていた。
「そうか…ああ、そうだな」
プロールは、ただ頷くだけだった。自分は何も言わなかった。するとプロールはまた、口を開いた。
「…私は、結局現実を逃げていただけなんだろうな」
私はあの時、生まれただけで人生が決まると言う理不尽な社会が、嫌だった。上級階層が裕福に暮らし、下級階層の彼らが奴隷のような生活や、スラムでの殺し合いを強いる日々が苦痛だった。ただ、それだけが嫌だった。
プロールの苦痛のような独白が、自分には聞こえている気がした。自分がもし、ショックウェーブを信じていたとしたら、オライオンは少しでも救えたのだろうか?答えを自問自答しても、あの頃は戻って来ない。だから、あの時――オライオンの言葉を制止して、あれから――あれから、オライオンとは会っていない。自分たちが戻ってきた時には、彼はもう――。

「――なあ、プロール。今度は、俺の番だ。俺の話の、聞き手になってくれないか」

これは、後悔と思い出の物語だ。救いなど、何処にも無い。




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