白昼夢〜冷傷の夜

「お前は変わってないな」
「お前は変わったな」
あの日からかなりの時間が経った後、上層部司令であるプロールにそう語りかけた。あの事件以来、プロールとは久しく会ってないからだ。机に座っているプロールを見て、自分はそう語りかける。思わぬ形でロストライト号の彼等との再会――ラチェットやホワール、クロームドームと再会して以来、ラチェットの口から語られたのは自分から見たら全く持って違った今と、共に戦ったかつての仲間の現状だった。スキッズとグリッヂ――いや、DJDのターンの事、そのDJDによって殺されたトレイルブレイカー…トレイルカッター、彼等が再会し、スキッズが命を落とした事、スキッズのかつてのパートナーであるゲッタウェイの裏切り、そしてショックウェーブの一件…今まで見てきた世界とは到底信じられない現在の状況を何とか飲み込んだが、いまだ消化し切れない事実がある。
「…私を恨んでいるのか」
オライオン・パックス――この現在の呼び名では、オプティマスだった。オプティマスの死――ユニクロンとの激戦で戦死したと、報告が告げられた。勿論納得がいかない事もある。メガトロンが自らの裁判を受け、死刑を何事もなく――受け入れた事を。恐らく、全ての罪への償いだろう。と上手く呑み込めたが、やはりどうにも腑が落ちない。プロールの執務室に入り、その事をプロールに問いただした。プロールはおとなしく、ローラーの問いに答えるだけだった。それに、片目が欠損している。恐らくは彼も何かがあったのだろう――。ローラーは、プロールと話をつづけた。

いつだったか、ショックウェーブが評議会に連行された直後、プロールと会話する機会があった。プロテウスの使いである彼は、一般市民であると聞いていた。あの嫌悪感を露わにするほど――ショックウェーブより相当信用するしかない、いや、ほぼ諸悪の根源である評議会の一員であるプロテウス。最初は警戒をしていたが、クロームドームと打ち明ける辺り、彼も相当悩んでいるのだと気付いた。
「生まれで人生を決められる社会、嫌っているか?」
プロールの疑問に、自分はこのとき、ラチェットが助けたある患者の事を思い出した。しかし、あまりまともな発言を答える事は出来なかった。プロールの目は、社会を嫌悪している目だった。自分はオライオンと同じ『ポイント・ワンパーセンター』であったのだから――しかし、伝えられなかった言葉は、すぐさま「あの時、答えれば答えればよかった」と後悔する事になった。そして、プロールと会う事はその後、一切なかった。ただ、オライオンに対しての後悔しか残されていなかった。




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