Fragments・2

「ウィング、私は評議会に顔を見せに行く。その間、お前は評議会の警備でもして来い」
ダイアトラスはそう言い、ホールに背を向けて立ち去って行った。スーッと呼吸をしてウィングは息を吐く。此処は評議会――息の詰まる処だ。ダイアトラスの護衛であるアックスは「面倒な事はするなよ」とウィングの肩を叩きダイアトラスの後に続いた。評議会に居る議員は何処も彼処も嫌な性格をしている―――ダイアトラスの言う関わるべきではない存在・・・・・・・・・・・であろう、プロテウス議員然りラットバット議員然り。ウィングは廊下を歩き、キョロキョロと辺りを見回す。そのせいか、ドン!と誰かとぶつかり――ウィングは「す、すまない!」と顔を見上げると―――。

ウィング………?」

白銀の機体に青と黄色のカラーリングを施した議員――ダイアトラスの友人であるショックウェーブ議員であった。

「し、失礼しました…!」
言葉を急に変え、ウィングはショックウェーブに無礼な事を…!と自分の不甲斐無さに頭を叩いた。ショックウェーブは「いや、良いんだ。それより、君はどうして此処に?」とウィングに問う。
ダイアトラス議員が、評議会に向かって…其処で私は評議会の警備をして来い――と」
「評議会―――ふむ、処でウィング、暇だろう?」
「え、ひ、暇」
警備だと退屈が晴れないから、私と一緒にお散歩でもして来ないか?と手を差し伸べた。ウィングは拒み辛さを感じながらも、ショックウェーブの頼みを聞くことにした。

「此処は―――?」
確か、此処でアーク号が発進したと言われて作られた記念公園だったか。ウィングは辺りを見回した――そう言えば、彼はある警察官を助けて何らかの謹慎処分を受けたと言っていたが――ダイアトラス曰く、彼を助けた後に暫く記念公園でその件の警官と色々話をしているらしい。
「…あの警察官は、何者なんですか」
「彼の名前はオライオン・パックス――ロディオン州の警察官だ」
オライオン――確か、評議会に連行され、必死に議員に呼びかけをしていた警察官が居た――ショックウェーブが助けた警察官と同一人物だと確信したウィングは、ショックウェーブを見上げた。
「何故、彼を助けたんですか?」
「彼は――この星を救う希望なのだ。そう確信したからだ」
成程――これは確かにダイアトラスの頭を悩ませると分かった。正真正銘、進んだ道は真っすぐ決める男であろう。ウィングはショックウェーブを見上げ、深く心の底で頷いた。だが、ショックウェーブの理想はあまりにも高すぎる。自分ではとても叶わない。そして―――やがて、彼はとても辛い現実を見る事になる。

そう、それは着実に。




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