白昼夢〜プロローグ

「比翼の鳥、と言う言葉を知っているか?」
嘗てかなり前の昔、センチネルプライムがメガトロンに倒され、結構その後ロディオン警察を退職した後にオライオンが発した言葉であった。ショックウェーブが評議会に連行され、今も暗い顔をしている時が有るオライオンであったが、持ち場のリーダーシップで其れを切り抜けようとする姿が、時折痛々しいと感じた事があった。辛いと言うのなら吐き出せばいい。自分は、そんな友人の姿が見ていられない事もあったが――同時に、自分の無力さを感じる事があったのだ。
「片翼の二対の鳥は空を飛べる事が出来ない。だが、両翼を支え合えば飛ぶ事が出来る――昔、ショックウェーブが教えてくれた言葉だ。地球と言う惑星の言葉らしい」

――そうして、あの事を思い出すのだ。

あの恐るべきユニクロンが降臨した事もあってか、未だにユニクロンによる攻撃の爪跡が残るセイバートロン星。プロールの執務室に設置してあるバルコニーから、空を見上げる。ロストライト号でセイバートロン星から帰還し、解散した後に――プロールから説明を聴いた後、失くした虚しい心を思い出すのだ。オライオンは、どれだけセイバートロン星のリーダーの重圧に押し潰されていたのだろう。自分やラチェット、ショックウェーブが居なく、どれだけ挫けそうになろうとも――リーダーである自分だから、仲間にみっともない姿は見られない。自分が何とかしなければ。と言うのは、今も昔もずっと変わっていない。そんなんだから躓く事もあるんだ。と同僚の誰かが言っていた事を思い返していた。
――プロールが地球から持って来たデルフィニウムの生け花を生けた花瓶を見て、ローラーは考える。

自分は、もう戻れない処まで来てしまったのだ。ラチェットやスキッズ、ショックウェーブ――そしてオライオン。あの時の彼等は、もう居ないのだと。




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