Fragments・1

あの日の事は、鮮明に覚えている。ショックウェーブが経営しているアカデミーは、アウトライヤーである理由で言われなき迫害、差別を受けた彼等に、勉強や生活、基礎を教える正しき学び舎と思える、光眩しい場所だった。けれど、あの事を思えば―――何も感じられない自分が辛いのだ。オプティマス達の前に再び現れた、ショックウェーブ。彼は自分なのか、オニクス・プライムなのか、自分が何者なのか分からなくなっていた。彼の墓場は自分が引き摺って行く。だから、安易に地獄に行かせはしない。だから永遠を彷徨え―――墓守の役目の様だ。と苦笑をすれば、バルコニーでセイバートロン星の空を見ていた。そして、ある人物への定期通信を行う。

『オートボット司令部――その姿を見るのは久しいな』

―――先の大戦で猛威を振るったディセプティコンの指揮官の一人であるデスザラス。今現在は生き残ったディセプティコンを束ねている、現状をまとめられるリーダー台頭でもあった。ディセプティコンをまとめられるターンらDJDは戦死、科学者スコルノポックも何者かに殺されており、ショックウェーブは幽閉され、サウンドウェーブは死亡。それならばデスザラスに任せられるしかないのだ。
「久々だな――――今は、状況がかなり違いすぎたのだがな」
『…ターンの事か?あの男は―――良心を捨てきれなかった』
「良心?」
『元々はオートボットであり、仲間を思う気持ちは強かったらしいが――オーバーロードの挑発を受け、同胞の仲間を殺害してしまった。それが切っ掛けで全面戦争を突入させる事になったのだが――俺はそんな非道が耐え切れなかった。ニッケルが居なければ、あのまま死亡していただろう』
良心――――アカデミーの時、スキッズと仲良くしていたグリッヂ
(欠けたもの)が、自分自身の心を切り捨てた。残酷な事に、そう簡単に変われる訳ではない。心を捨て去っていれば、楽になれたのだろうに―――自分のように。だが、デスザラスはプロールの思い詰めた表情を見て、ある事を言った。
『貴様は――――心が痛まないのか?』
お前の部下の、元親友だったんだろう。それに、部下二人を一変に失い、心が痛まないのか。心を病まないのか。
デスザラスはプロールにそう言う。何が正しいわけなのか、何が間違いなのか、冷静に判断を行う。が、今は違う―――全て終わった事だ。そう思ったが。そうじゃない――だが、プロールは、デスザラスにこう告げた。


「…ああ、必要な犠牲だったよ」




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