Bonustrack:ネバーエンド

自分からしたら、この腐った社会からすれば、所謂ーー自分はガラクタ、玩具のような存在だったらしい。



自分はアウトライヤーだから、気に食わないショックウェーブ議員の教え子だから、スキッズやチャージャーと同じ殴られたり厄介な奴らに絡まれる事が多い。その上、エンピュラータを施されているから、余程ロクでもない奴等に絡まれる確率が多かった。生まれた時からスパークの価値観が決まるこの平等で不平等な現実からは誰からも逃げられないし師ですら、どうしようも無い事が多かった。
とどのつまり、今現在ーー自分は、そういった奴等に路地裏でーー追い詰められて狙われていた。
「あー、こいつ例のショックウェーブ議員の教え子だよな。しかもエンピュラータ施されているって事は、捨てられたんじゃないのか?カワイソーに」
「困った子供だねぇ…オイたな教育をしても、こいつ直ぐに睨んでくるんだよ。単眼で」
侮蔑を込めた嘲笑しているこの男達を見て、自分は能力を使おうと使えなかった。ーー能力を使うな。自分の手で殴れ。そうしなければ、誰かが罰を受けてしまう。誰かが巻き込まれてしまう。だが、こいつらが憎い。自分が壁に打ち付けられたまま、立ち上がろうとした瞬間ーー男達が投げ飛ばされた。

「おい、大丈夫か!?」

橙色と青碧を基準にしたボディと、肩に装着されているホイールをした大型機のトランスフォーマーだった。確か師の話に出てくる、ロディオン警察署長のオライオンの親友のーーー……頭がさっき男達に殴られたのか、ブレインがその衝撃でガンガン痛み、その先が思い出せなかった。


「…ローラー、真っ先に薬品密売者に飛びつくなと言っただろう」
「だけどオライオン、いくらあのグループの一味が評議会と繋がりがあるとは言え、真っ先にショックウェーブ……こいつの教え子を狙う卑劣さが気に食わない」
お前もショックウェーブの時になるとカッカするのは言えないだろ?と後からやってきたオライオンに話しかけているローラーは、評議会への不満を漏らしていた。あの純粋な馬鹿力で男達を投げ飛ばし、殴る力が正直うらやましいと感じたのだ。
「とはいえ、お前もお前だ。スキッズを高く評価した時があっただろう?『いずれお前も俺みたいにビッグな志を持てるだろうな』……とな」
応急処置を受け、おとなしく座っている自分を見てーー彼は自分に駆け寄った。
「大丈夫か?……酷い傷だ。暫く跡が残るだろうな」
「あー…そ、それは…」
「また何かあったら、俺達に頼ってくれ。絶対に駆け付けるからな………まあ、正義感の強い警察官からのお約束だと思ってくれ」



それは自分にとって心地良い思い出だったのか、何かのきっかけに過ぎなかったのかは分からないーーただ、自分からしたら、『正義感の強い警察官』の約束を破ったのは、後悔した。
これは今はいない、彼を思い出した自分ーー蛇に踊らされた哀れな処刑人の、たったひとつの冴えないおとぎ話なのだから。




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -