花の唄

「本当は――俺がオプティマスを支えるべきだった筈なんだ」
オプティマスはメガトロンの理想に共感した。誰もが共に生きれる平等な世界――だけど、それが理不尽な事実に歪められてしまった。平等な世界、相互理解が出来る理想の世界。機能主義ではなく、誰もが平等に生きれる理想の世界。それが、叶わぬ夢だと思い知らされたのはショックウェーブが連れ去られた後――クーデターが起こった後だったのだから。
「けれど、それはショックウェーブがやるべき事だと何処かで言い訳をしていた。だから、支える事が出来なかった――自分で自分を追い詰めていたんだ」
ローラーの心境と、その葛藤でラチェットは、ただそれを聞いていた。それらが叶わぬ夢だと知っても尚、オプティマスの背中を追い続けていた。それも、ラチェットは最初から知っていた筈だ。自分もオプティマス――オライオンを支えるべきだった筈だ。だが、自分もまた、ショックウェーブが担うと何処かで言い訳をしてしまったのだろう。
「…今も、時々考えるんだ――何も知らなかった自分が嫌になる」
――スキッズとグリッヂの事の顛末は、変えられなかったのか。憎悪を復讐や処刑に走る彼を、自分が起こした過ち、罪を耐え切れず――自分自身を殺してしまった彼について何もかも、知らなかったのだ。
「…ターンの亡骸を――見た時は信じたくなかった。どうして、なんだと思いたかった。けれど、これも現実を受け止めなくちゃいけないのだろうかって言い訳を、何処かで――」
「……罪を犯した者は、一生糾弾されなければならない覚悟を背負わなければならない。言われようもない悪意も、どうしようもない事実も。私だって、覚悟をしていた。デルファイで――だが、ドリフトと出会い、共に行動していた時に分かった事があった」
過ぎた時間は戻らない。だから、今を大事にし――共に生き、共に死ぬ事が、自分に出来る使命なのだろうから。

本当は分かっていた筈だ。あの青い花が咲き乱れる世界で、嘗て共に笑い、共に生きると誓った彼等の墓標が其処にあるのだと。過去は取り戻す事が出来ない。過去を変える事は許されない。今を生き抜く事が、自分達に課せられた使命なのだから。再生と祝福、生と死、罪と罰。許されない真実と許された運命。

(――ショックウェーブ、お前は俺を――許してくれるか。彼等と共に、その世界に行くことが出来ない、自分を)




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