虚構の大義、事実の真理

「トランスフォーマーってさ、死んだら何処に行くと思う?」
「オールスパークだろ?死んだらオールスパークに還るってノーティカさんに教えられたんだ。後ヴェロシティさんにも」
アノードの問いに、ラグはそう言葉を返した。だが、アノードはある事実を言った。
「…じゃあ、アフタースパークでみた光景、信じられる?」
「………」
ブレインストームがクォークと言うと、そのクォークと言う人物はブレインストームの名前を呼んだ。アフタースパークはスパークの安楽死施設と言われているが、ラグはいや俺だって到底受け入れられないんだよ…と愚痴ったのだが。
「…でも、ニッケルちゃんにとっては嬉しいんじゃないのかな。ター…」
「アノード、それ言っちゃいけない。ニッケルにとってかなり複雑なんだ…だから、そっとさせてくれないか…」
アノードはごめん!と言いながら、俯いているニッケルに謝った。ニッケルは「いい、の」とぼそりと呟いていた。だが、アノードは一つだけ、気がかりな事があった。
「…死者の、世界……ネクロボットさんも、この光景は何か知っているのか、な…」

「写真、残っているか?」「…ロディオン警察時代の写真か?」
ローラーがラチェットの部屋に入り、その写真をラチェットは机から引っ張り出した。かなり古ぼけた写真であるが、スプリングアームとホイールアーチ、オライオンとローラー…ロディオン警察時代の写真があった。
「懐かしいな。お前さんが新人であるスプリングアームとホイールアーチに、色々傍迷惑なアドバイスした頃は覚えているよ。よーく私の世話になってくれたからな」
「……は、はは…あの時のラチェットは怖かったからな……」
正直、怪我をしまくったスプリングアームたちとローラーを正座させてガミガミ説教させたのが懐かしい。
「……少し、力を抜け。お前さんは、責任感が強すぎる」
どうせスプリングアームの事だ。相当責任を張り詰めていたんだろう?とラチェットが彼に指摘すると、ローラーは椅子に座った。
「すまん」「お前さんは……悪くないんだ」
あの時、スプリングアームと再会した時は零れ落ちた感情が膨れ上がったのだろう。彼に、謝りたい気持ちも分かる。オライオンに、気持ちを吐き出したい気持ちも分かる。だが、過去も、今も変わらない――ラチェットは、問い掛けた。
「気持ちは?」
「整理した……一応」
「どうだった?」
「大丈夫……恐らく」
「お前さん、大丈夫か?」
「……恐らく、大丈夫じゃない」
ラチェットは、ローラーを見てなら、もう少し話をしようじゃないかと言わんばかりに、バルコニーに出た。

「お前さんは、そう言う奴だ」




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