後悔〜カルドゥスの運命

「なあ、あんたって…あのDJDの……」
ニッケルが振り向くと、フルクラムが恐れ恐れにDJDと問いかける。ニッケルは「ええ…も、元DJDだったのよ」と返した。
「DJDって、メガトロンによって壊滅したんだよ、な…。だったら、俺はもうあいつらの影に怯えずに済む…けど、今はスコルノポックの奴等が居るから一難去って、また一難なんだよな」
スコルノポックは自らが持っているマグニフィカスを狙っている筈だ。しかし、デスザラスと別れて、今はフルクラム達と一緒に居る。ニッケルはフルクラム、いや――スカベンジャーズと一緒なら、大丈夫だ。スコルノポックとは違い、良心を持ち合わせている。
「けど……DJDの医者であるあんたが、何で裏切るような事を…」
「えっと……ごめんなさい。あそこに居るのが、辛かったの」「……そ、そうなのか」
誤魔化してしまった。けれども、ターンが自分のリペアを受けた時――ある事を喋っていた。

いつ、の事だろうか。
「ショックウェーブ議員?…オプティマスプライムの、本当の名前…?」
ニッケルは、ターンの言葉に耳を傾けた。
「ああ、ディセプティコンの科学参謀であるショックウェーブは…本来は私の"師"であった。評議会へのクーデターで、元々の本来の姿は失われた――」
「データバンクに載ってあったエンピュラータと、シャドウプレイの事かしら?」
あの技術は禁忌技術の筈だ――禁忌とされてきた技術を、評議会が隠し持っていたのだろうか。
「だが、私は見て来たのだ。師はオプティマスプライムの…友人だったのだ」
「えっ、友人」
それは初耳だ。自分はまだDJDに入って日が浅い、だからメンバーのリペアやケアをしていながらも、彼等の世間話をしているが――ターンの話は、意外な話だった。まさかターンに、師が居るなんて。
「師は…学生だった私に、色々な事を教えてくれた。だが、それはある事件によって唐突に終わった。師は評議会に連行された後――シャドウプレイの手術を強制的に施行された」
「酷い…どうして、評議会はそんな事を」
「…正義だからこそ、どんな事を使っても厭わないと言う免罪符が評議会には蔓延っていたのだ。私の顔は――元々は師の顔が使われていたのだから」
ニッケルはターンの顔を見上げた。顔の半分は、醜い傷跡で覆われている。元々はショックウェーブの顔だった。
「…ターンは、どうしてディセプティコンに入ったの?」

「――ニッケル?」
フルクラムの言葉に、ニッケルは我に返った。今は、此処から脱出する事を考えるべきだ。フルクラムやクランクケースは武器を持ち併せている最中――ニッケルはある事を思い返していた。

『――ただ、純粋な力で師の友人である、ある男が羨ましかった』

(……それって………)
ターンの言葉が、胸にまだひっかかった。




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