追葬〜カルドゥスの花葬

少し仮眠していた。

目が覚めてあの一連の後、ラチェットと話をした後――遺体安置室に行った。安置台に横たわっているスキッズの遺体。あの頃の、ショックウェーブの学び舎でグリッヂやウィンドチャージャーと健気に話をしていた学生だった彼は、大人びて成長していた。ロストライトクルーの一人であるノーティカから聞いた話だと、彼はスワーブやゲッタウェイと親しくやっており、仲睦まじくしている様子が見られていたと。
(どうしてこんな事に――)
ターン――いや、グリッヂの戦いの時に命を落とし、トレイルカッター――トレイルブレイカーもまた、彼の部下によって殺された。スキッズは過去を失った理由はターンの手を借り、グラインドコアを修復した事によって多くの悲劇が起きてしまった。自らの罪を悔やみ、過去を記憶の彼方に葬り去った。過去を悔やんでも仕方がない。だから、前を向く事で――自分自身と向き合う事が出来るのだから。だが、この結末は残酷ではないのか?何時の間にか仮眠をしていたらしく、部屋の隅で居眠りをしていた。すると、安置室にもう一人、部屋に入ってきた者がいた。
「……ああ、貴方でしたか………」
ラング。ロストライト号の精神科医である。スキッズに色々助けられた。とラチェットから話は聞いている、が。あまり顔色は良くない様子だ。
「…すまなかった」
「貴方は、何も悪くありません。……ただ、私は皆から想像出来るほど、誰かを救う先生じゃないんです」
「スキッズの事だろう?お前は何も――責める事は無いんだ」
「すみません……ただ、スキッズは悔いは無い。と思っていると思いますが…こんなの、耐えられないんです」
ラングは、辛そうに心境を吐き出した。

「…折角会えた同僚に裏切られ、自分自身をズタズタにされ…私は、彼の本当の心に気付けられなかったんです…!」

一瞬の沈黙。ラングは、吐き気を堪え――ローラーはラングを抱き締め、落ち着かせた。
「すみません……けれど、スキッズが死んだ現実がまだ、受け入れられずに居るんです…」
自分自身も分かっていた筈なのだ。ショックウェーブも、グリッヂも、トレイルブレイカーも――そしてスキッズも、もう此処には居ないのだ。けれど、自分自身がオプティマスや彼等を信じていた筈だ。自分自身の無力さを呪っても、自分自身で選んだ筈だ。だが、この代償は重過ぎる。今度は自分自身が、現実を受け入れる番なのだろうか。
「……すまない」
ラングが嗚咽に漏れ、すすり泣く声がした。ローラーは目の前の現実を、ゆっくり受け入れるように、スキッズの遺体をただ、見つめる事しかできなかった。




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