序始〜カルドゥスの原罪

蝶になった夢を、お前は見ている。
お前になった夢を、蝶は見ている。宛ら、歴史に準えるように、蝶は現世の夢を見る。有り得たかもしれない可能性を、悲劇を謳う様に奏でる様を、逸話であり得たかもしれない悪夢を、幻想を、夢を――そして、誰かの嗚咽を。
結局は最後に残るのは誰かの悲しみだけだ。可哀想に、だって幸せなんて永遠に続く筈が無いのに、

お前が呪いを受ける筈だったのに。

――ある平行世界の歴史から発掘されたとあるディセプティコン指揮官との会話ログ


×××××:では、貴方は同胞を処刑するのに躊躇いもないと――そう仰っているのですか?
被験体04:ああ、そうだ
×××××:貴方は元々オートボットだった筈です。そのディセプティコンに関わっているオートボットですら殺すのは人としてどうなのですか?それは貴方の憎悪なのですか?貴方の精神は異常を起こしています。とても人として有り得ないのです。
被験体04:それはとっくに言われた事だ。貴方はとてもいい精神科医だ。その腕だったら、戦争被害者を救えるのかもしれないのに。
×××××:それはとてもあり得ません…私はただの医者です。そして、医者は誰かを救えるとは限らないのです。だとしたら、貴方は何を望むのですか?憎悪?それとも――メガトロンへの憧憬?
被験体04:メガトロンの為に裏切り者を殺す
×××××:…………そうですか。貴方は本当に変わってしまったのですね。オプティマス・プライムの指示で、貴方を調べさせていただきましたが、昔の姿とは到底大違いです。貴方の名前は?
被験体04:――ターン
×××××:ですが、貴方の身柄や情報を調べさせて頂きました。貴方、本当は(此処だけノイズが入っていて読み取れない)なのでしょう?
被験体04:その名前はとっくに捨てた
×××××:いいえ、そんな事はありません。何故、貴方は友を裏切ったのですか!?貴方はどうして――オプティマス・プライムを裏切ったのですか!?私には、到底信じられない事で…っ

被験体04:オプティマス・プライム――ああ、そうだった。彼は――とても素晴らしい友人だったよ

(その言葉の先はノイズで途切れていて進めない。会話はここで終了している)




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