鎮昏歌

いつの日か、君は私を信じる事をやめるだろう。それでも、どうか泣かないで欲しい。私は君の中にいるから、だから――永遠に覚えておいて欲しい。永遠など、何処にも無いからこそ、命は一瞬で輝けるんだと言う事を。

オライオン、いつか君は泡沫の一時を過ごした思い出を、私が私であった思い出を覚えているだろう。私はそういう性格だからこそ、君にマトリクスを託したんだ。知っているだろう?遅かれ早かれ、セイバートロン星はいつか破滅すると言う予感を。だから、私は警察署長である君に、穢れなき正義を信じる君にマトリクスを託す事が出来ると思ったんだ。この星は一番きれいだ。けれど、一番穢れている星だと思う。分かるかい?評議会の恨み、憎しみが混じり合う討論、生まれただけで人生が決まるレールのような社会、そして――罪もない彼等が、死んでいく姿を。私は、そんな彼等を、救いたいと願った。守りたいと願った。そして――いつの日か、誰もが平等に笑いあって生きていく社会を、目指そうと頑張った。でも、きっとその願いは無理だったんだろうと思った。わかるかい?オライオン。君を守りたいからこそ、私は犠牲になった。でも、オライオン、前へと進むんだ。そのとき、再会した時は、私は私ではなくなっているだろうけれど、あの日の私を、君はいつまでも覚えているだろう。それでも、鎮魂歌は歌わないでくれ。私からの約束だ。


アフタースパークと言うのは、肉体を失ったスパークは、普段はオールスパークへと還るべき事実だ。だが、アフタースパークと言うのは、そのスパークを安らかに消えさせるべき…言わば『安楽死施設』の存在だった。彼は心の中で馬鹿馬鹿しい。と感じた。自らが死ぬ時は、共にオールスパークへと還るべき存在だ。魂を讃えるべきではない。では、彼等は何の為に死んでいったのか、何の為に生きていくのかが、無駄になってしまう。

ふと空を見上げると、白百合の花が、風で花弁になって咲き乱れていた。

彼なら、この状況をどう思うのだろうか――と、先を急いだ。ふと、彼が背中を押したように感じた――しかし、後ろを振り返っても、誰もいなかった。白百合の花びらが、空になって舞い上がっていた。



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