D.I.D.

「――スキッズの一件は非常に申し訳が無いと思っています。かつての同僚に殺されるなんて、そんな結末を受け入れたくなかったでしょうに」
「いや、こっちも済まないと思っている。俺が居ない間に大変な事が起きていたとはな」
ゲッタウェイやスターセイバーの一件が片付いた後、ロストライトのラングの部屋で彼本人とローラーは彼が今まで生死不明だった間に全ての事を話していた。

「…ショックウェーブの教え子が、敵と味方に分かれて互いを憎みあっているとは俺も予想もつかなかったが」
「ターンの正体はについて一瞬ローラー、貴方本人と考えましたが…ターンやスキッズの言葉や態度を見る限り、違うと否定しました。ターンの体やオルトモードの形状がローラーと偶然一致…生死不明…と色々考えましたが、まさか、オプティマス――オライオンの友人であるショックウェーブの教え子グリッヂ本人だったとは思いもよらない事でした。まさかシャドウプレイを受けた上に――あのDJDのリーダーとして戦場で恐れられたと言うのは、貴方やオライオン…いや、オプティマスが聞いたらショックを受けたでしょうに――」
確かにそうだ。オライオン――オプティマスがこれを聞いたら、嘗てのショックウェーブがシャドウプレイで無残な姿になり、彼と殺し合ったと言う悲しい事が起きたと言うのに、二人の教え子の変貌と死は、彼をどれだけ絶望の淵へと追い込むのだろうか。…ラングは今はいないスキッズの事を考えるが、頑なにそれを否定した。
「…もし、例えば…」
すると、ローラーが一瞬の静寂を破るかのように、口を開く。

「――もし、仮に…本当にあのターンが俺だったとしたら…アンタや、オライオンはどうしたんだ?」

…確かに、仮にターンが彼だったとしたら。嘗ての友であるショックウェーブを殺す事でしか救う事が出来なかったオプティマスは、彼を殺せたのだろうか。友の屍を乗り越えた成り立つ平和とは――何なのだろうか。
「…恐らくは、苦渋の決断の末に…貴方に、銃を向けるでしょうね」
「――そうか」
あいつらしいな。とローラーは天井を見、そうぼやいた。だが、ラングは非常に申し訳が無い気持ちでいっぱいだった。
「…いえ、有難う御座います。恐らくスキッズも…貴方が無事だった事を喜んでくれるでしょう」
ラングのその言葉に、ローラーは引っ掛かった。だが、彼は――ラングにある事を問い掛ける。
「なあ、ドクター」
「…はい、なんでしょうか」
「――全てのスパークは、オールスパークに還ると言うが、俺達トランスフォーマーの存在は、死んだら何処へ還るんだろうな」
「――いえ、分かりません…それは、プライマス神に聞くといいでしょうね」
「そうか」



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