五月の魔法

*17話語。ねつ造

「――私ね、フミタンが居たから、彼女が支えてくれたから…生きてこれた」
クーデリアの言葉に、三日月はピクリと動かなかった。動く事もない、真実は――彼女は、もう彼女ですらなかった。血に濡れた死体を見て、クーデリアは何を思ったのだろうか。
「革命の乙女――古びた紙の本に、そう書いてあったの。けれども、私――革命の乙女に、なりたくなかった」
クーデターに巻き込まれて死んだ女性を見て、クーデリアは思った。自分は革命の乙女になりたくない。それでも、私は私らしく生きていたいのに。
「クーデリア」
その時、三日月がクーデリアに向かって言う。

「…泣いていいよ、今だけは」

泣いて良い。これまで、溢れて来た思いが、こみ上げそうだった。だからこそ、自分はまだ生きている。フミタンは死んで、自分が生きている。
「そうだ――私、今までフミタンが居たからこそ、生きてこれた。でも――フミタンはもう居ない――私の、浅はかな行動のせいでっ――」
「アンタのせいじゃない――これは、フミタンが選んだ道なんだ」
選んだ道だった。けれども、道を違える事は許されはしなかった。
何時までもすすり泣くクーデリアを、三日月は抱きしめる事しか出来なかった。



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