月がきれいな日に

満月の夜、薄らと体が火照るくなってしまう。自分の体は一度死んだ身で、不完全なまま蘇ったのだ。だから、副作用時にこうして火照る体を我慢しながらベッドに潜り込む。何も起きなければ良い。そう、何も…。


ウートガルザが籠ったまま部屋から出て来ない。流石に心配をしているバルドルも「このままでは士気に影響が出ますね」と言っているが、神闘士を束ねる筆頭である自分に「丁度良いですから貴方が彼の様子を見に行ってくれますか?」と指を振った。仕方が無い、自分が行くか。と思って――この後、バルドルの頼みを訊かなければ良かったと後悔する事になる。それは覚えている。

「ウートガルザ、居るか?」
ドアをトントン、と叩くと――無音のままだ。寝ているのだろうか。と心配している自分であるが…思い切ってドアを開ける事にした。金属製のドアノブをガチャリと捻る。鍵はロックされていないままだ。一体何があったのだろう。と思うが――シーツに包ったままベッドに身を預けているウートガルザの姿だった。
「お前が何時まで経っても来ないから――私がお前を呼びに来た」
「来るな」
「来るなと言われても困る――お前が来ないと、神闘士全員集まらない――」
「来るなと言っている!」
何時もは冷静な声を出す彼だったが、今日は何時もとは違う。窓が開いている――満月がきれいだ。流石の自分もこんな言葉を言われたら少し怒ってシーツをした――が――。

「…っ!」
「…えっ!?」

女の身体だ。男とは違う――女性の体つきだ。金色の瞳がこちらを見て、少し恥ずかしそうに照れているのか――声なき悲鳴を上げ、自分の頬を叩いた。



見られたくなかった。見られたくない相手に見られてしまった。満月の夜に、こうして副作用に耐えながら主と一夜を過ごして――全てが終わった後には安堵する、嫌でも思い出す。
「―――お前、その体は一体――」
不気味な奴。とは言えども、女の体を見たら流石の自分もビンタをするだろう。だが、彼は何事も無く冷静に対処をする。
「…此処での一件を、忘れろ」
「忘れろとは言わない、だが、お前は…」
「良いから」
女のからだと言えども、火照る情欲に耐え切れず――自分は彼にキスをした。

「はぁ…くっ…ぁ…!」
ぐちゅぐちゅとかき乱す音がする。私は一体何をしているのだろう。とふと考える。女である彼を犯してまで、一体何をするのだろう。
「やだっ…やだ…っあああああ…」
達し、愛液がどろりと流れ落ちる。素顔はこんなに女々しかったのだろうか。けれども、見てしまった秘密はもう二度と暴かれない事が出来ないだろう。
「しっかりと…体を抜け…」
「えっ…?やっ、―――――――――――あ!」
挿入れ、耐えきれないと分かっていても、彼――いや、彼女は声を上げる。こんなに酷く淫乱な奴だったのだろうか。シーツを握りしめ、声なき声を上げる彼女は、一体何者だろうか。
淫らに交わっても、答えは出ない。
「やだっ…だぁ…もう、ごめんなさ…っやっ、あ、あーーーー!」
注ぎ込まれる感触に、彼女は悲鳴を上げる。ずるりと抜けば、びくりと身を震わせる。

こんなにもまだ、彼の事を知りたいのに?


一夜を過ごした後、シャワーで身を潤す。ぽたぽたと液が流れ落ちる。
(こんな不完全な肉体…)
まだ、秘密は知られていない。けれども、主であるガーネットの男は自分を抱く。フロディはもう既に帰った。彼に「この事は誰にも内緒だから何もしゃべるな」と約束をして。
だが、自分はやらなければならないことがある。だから、生きているからこそ、意味があると思うのだ。

「………貴殿は、それを知らぬのだな」
この秘密は、誰にも知られたくないのだから。



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