嫌悪関係における或る彼の独白

俺がこいつを嫌っているのは憎たっらしい性格で手段を選ばない女だから。と言うべきか、彼女はにたりと笑っていた。妹と仲良く暮らしていた姉妹だったと死んだ兄が言っていたが、そんな事は如何でもよかった。唯嫌われている女と天涯孤独な男の性欲を満たす為の行為は、嫌いとは言えず、処女を奪った感触であっても嫌々とならずに喜び嬌声を上げる女と、憎たらしい女を陵辱する行為は等しいとは言えるのだろうか?嗚呼、憎たらしいのはこっちの方だ。何とでも言え。

「やだっ……ンっ!ああっ…!」
根が奥深くまで挿入った時にそいつは喜びの歓声を上げた。ズプズプと子宮に突く感触をそいつは喜んでいたが、限界が近づくとキスを強請る。舌と舌を絡ませる行為は喜ぶべきか?悲しむべきか?そんな事は如何でも良かった。女を抱くと言うのは、前にもやったが――こいつは違った。嫌いな相手だ。舌を胸の果実にちらかせて硬くなった実を舐めれば、そいつは深い喜びを上げる。いっそ孕ませて腹の子供を抉って殺してやりたい。そう思いたかった。思えなかった。なのに、彼女は陰部から指をなぞり――腹の辺りを摩った。嗚呼、本当に嫌いだよ。と思った。幼馴染の女を思い返したのか、カミュと囁いた。彼女はその女を友と呼んだ。羨ましかった。いっその事そいつを殺したかった。パンパンと肉の音が響いている最中、ごりごりと音が響いた。肉が収縮する音がする。無機質な部屋で女と男が肉体を絡み合い、抱き合う。愛も情欲も無い、ただの行為。
「もうっ…駄目っ…んんっ…ああああああ……!」
そいつが達した時は、子宮に白濁とした液を吐き出した。抜くと、そいつはシーツに覆いかぶさった。胸が揺れており、股の間から精液が流れた。そいつはクリストスに指を挿入れ、溢れた俺の白濁した液体を舐めた。
「気が済んだか」
「そうだな――お前が私を気に食わないと言っているが、お前は私を慰み者としか見ていない」
「だったら何だ。幼馴染の女と――たった一人の姉妹であった妹を奪ったあの女と居て、楽しいか」
そいつ――スルトは「そうとは言えない」と語り、白いカッターシャツを裸から覆い被さり、楽しげに笑う。
「愛欲とは違い、情欲とは違い、まるでお前が私をラブドールのように扱う。それが、あまりにも愉悦だからだとでも思う――だが、私は其れで良い」
嗚呼気に食わない、其れで良いとスルトはそう言い、寝静まった廊下に出た。

「気に食わないだとしても、私にはカミュとお前――それに、妹の思い出があれば良い――ただそれだけだ」

スルトの言葉に、苛立ちを隠せない俺が気に食わない。ただ、それだけの事だった。



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