毒は毒を生み得る事しか出来ない。
ただの戯れですよ。アモンはそう言って自分を見下すような目で見た。口はハンカチか何かに塞がれていて反論する事も出来ないし、助けを呼ぶ事も出来ない。ただじっと何もしないで眠るだけ。眠るだけの眠り姫。
最初は犯された。反論してアモンに講義をしても、声を上げながらただ処女を貪られていくだけの行為に何も反論すら出来ない。
破瓜が起こった時は目の前がチカチカした。精液を注がれ――自分を抱きしめてシャワーで後始末をした。俺は眠っている。眠る事すら出来ない。玩具は玩具でしかない。愛玩の玩具と言うラブドールでしかないのなら、眠ってしまえ。
「子供を孕ませたいですか?」
「――嫌だ、ノー…と言ったら?」
口答えをすると、鋏を持って彼はこう語る。
「貴女の喉を掻っ捌きます」
シャツとスカーフを取り払われ、露わになったのは胸の突起。赤く染め上げられた突起を指で摘む。
「っ…!」
毎回この行為は慣れているが、やはり不自然に感じてしまう。舌で舐め上げられ、びくりと身が硬直する。数分間快い快楽に耐え――「ひゃ」と、声が上がっても抗う事すら許されない。歯で硬くなった部分を甘く噛んで、目を見開くと髪の毛を掴まされる。
「気持ちいいですか?」
「気持ち…いい」
そうですか。なら。と答える彼は、何処か優しい――が、精神を病んでいるかに見えた。彼を助けたい。心の闇から開放したい。それでも、自分はなすがままに抱かれている。するとヴァギナに指を突っ込ませる。
「やぁ…ああ!」
目を見開くと、指をもう一本増やされた。くちゅくちゅと嫌らしい音がする。すると彼はローションを用意して指にたっぷりローションを絡ませる。潤滑油として流れ出る液が気持ちいい。正気にすら戻れない――自分は受け入れてしまったのだ。受け入れてしまったのに、何故必死で抗おうとする?抗おうとしないのに――されるがまま、声を喘いだ。
ぶしゅうううううう…と液が流れる音がする。愛液がとぷっと流れ出る音に気力も限界だった。ああ、自分は愛されているのか愛されるのか分からない――。
ベッドに寝かされ、下半身の茂みを触られる感覚がする。びくりと反応するも、どうしても抗う事すら出来ない。
「やっ…あ、あ、ああああ!」
一気に貫かれる音がして、意識をスパークされた感触で覚醒される。唇をキスで塞がれ、舌で舐め合う。舌が絡む音がし、ぬちゅ、ずちゅと音がする。悲鳴を上げるような感触、其れでも限界が近付いていた。
「やーっ、は、あ、あ、あ、あ…」
子宮にごぽりと液が注がれる。はー、はーと息を荒げても――アモンは平気で語る。
「これで子供を孕む事が出来ましたね」
ああ、其れなら地獄にでも墜ちてやるさ。
君に溺れる、僕は溺れていく
*後日談
溺れた夜の事だった。
ジムは鋏を持っていた。
黒いドレスを身に纏っており、鋏を持っている。其の鋏の刃は――血で濡れていた。孕む事しか出来ないのなら、いっそ殺してしまえ。そう思っているが――後悔は無かった。孕む事しか出来ない愛玩玩具は持ち主を殺した。
そうであろうか?
お腹が肥大に膨れているが、孕ませられた証拠としか言いようが無い。だけど、綺麗に、そっと呟いた。
「――The scissors do not tell a lie(鋏は嘘をつかない)」
其の顔は、綺麗に――病んでいるような顔だったと言う。