失楽園の英雄

この行き過ぎた生徒は、メガトロンを敬愛…もとい、殺したいと思っているそうだ。破壊大帝メガトロン、セイバートロン星で知らぬ者は居ない、ディセプティコンに君臨する破壊の大帝であり、組織を率いるリーダーでもある。報告書によれば、最初は旧体制の不満による反乱軍の形をした組織が――基、ケイオンのアリーナに君臨する剣闘士が、全世界を巻き込む大戦を起こすほどの力を手に入れた大帝へと化したと言うのはある意味、伝説でもあり、英雄譚に名を馳せるほどの器を持つと言われた男へと化した。だが、その破壊大帝を信頼している――信仰する輩が、どうもロクでもない奴等が多い。この教え子と言い、彼の話から聞く掟を破る同胞を惨たらしく拷問して処刑するDJDの者達といい、全く、信者って言うのは本当に可笑しな者達ばかりだ(DJDのリーダーであるその男は、ノンストップキラーマシンと言われるくらいに頭がおかしいらしい。全く馬鹿げた話だ)。
だが、彼は野心も無く、純粋なメガトロンへの憧れと――虐殺したいから。と言うまるで、幼い子供のような純真さを持つ可愛らしい女の子…なのか。そうなのか、ただ、自分のお題を難なくこなす様は、先生と教え子のようだ。
「先生、何を考えているの?」
「ああ、いや…ちょっと考え事をな。お前さんは、神でも信じているのか?」
「ううん?」
頭が痛いこと。ただ、少し気になる事があった。かのナイツオブセイバートロンを信仰しているサークルオブライトや、タイレスト協定、法の番人であるウルトラマグナスも、何かを信仰している。かの地で噂になっている、プライマスを狂信しているとある騎士の噂や、古のアーク号。自分自身の知識や頭脳は高い。だが、何かを信仰した事はない。ブレインについての探究を求めた結果、自分を慕う者など居ない。一人になってしまった。信仰と探求は違うのだ。だが、彼にさらわれた時に、思うことがあったのだ。
「…もし、メガトロンを殺した時はお前さんは、どうなるんだ?」
「先生がそんな事を聞くのは珍しいね……そうだね、メガトロンを殺したら――」

ああ、それは。
「ずっと、離さない」
愛と言う、耐え難い感情なのだろう。私は、この殺戮の塊であるいとおしき子供に愛された破壊大帝を憐れんだ。

title:告別



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