観劇舞台装置に踊る魔女とダンスを

・フ/ァ/イ/ア/ー/エ/ム/ブ/レ/ム/i/f/とのクロスオーバー。とあるキャラとの会話
・色々何でも許せる人向け

「姉様は、大事な人です。私が幼い頃に生き別れてしまいました。でも、私は今の姉様を見て、安心しました。貴方にとって、大切な人は居ると思いますか?貴方は、毎日体を貪られて、苦痛の日々を過ごして、それでも、大切な人は居ますか?」
居ないとも。そんなもの、とっくの昔に捨ててしまった。目の前にいる少女はテーブル越しに話しかける。
「私は、貴方がとても優しい人だと思います。貴方が、世界を敵に回した逆賊なんて思いません。だって、心を許せる人が居るんだと思うんです。例えば――」
「――ガエリオ、アルミリア?」
「…それです。でも、貴方の心の痛みを、苦しみを、理解したいと思っています。だから、私は――」
理解さえ、出来やしない。とっくの昔に、良心など、人を慈しむ心など、己の信じる神など、そして――愛する者、でさえ。
「…もし、」
「もしも、だ」
そう、この少女は目の前の苦痛を、地獄を、そして――悲劇を、知りやしない。体を貪られる、苦痛など。囁かれる侮辱の声など。友人と幼馴染を利用した、罪など。信頼する部下が殺される、悲劇など。
「――もしも、君が目の前で姉が毎日強姦されたら、どうする?想像を絶する悲劇だろう?私、俺は体を毎日貪られていた。お貴族の性癖は、さぞかし俺にとっては拷問か、呪いに近い苦痛だった。それでも、お前は姉を愛するか?強姦した男を許せるか?貴族の戯れなど、そして――血と、生まれだけで、こんなにも怒りの中で生きてきた俺を、理解出来るか?理解など出来ないだろう。だからこそ、君の言う『姉』も、体を貪られる苦痛を理解出来ないだろう?けれど、私は君みたいな少女を知っている。無垢な少女で、世間の囁かれる悪意などを気にせず、私に話しかけてきた。無垢で、可憐な少女だった。闇の中で咲く小さな花だ。けれど、私は彼女を幸せにする事を出来なかった。彼女の兄――彼は、私の行動をすべて否定したよ。知っているか?君は傷つき、苦しむ人――例え、敵でも味方でも渾身的に救いたいと言うけれど、私みたいな穢れた体を持つ人間など、救いも出来やしない。何故――そうだ、私は、この苦痛と言う名の呪いから抜け出したかっただけだ。わからないけれども、分かって欲しい――君は、そんなに悲しまないで下さいと言うけども、人間は決して分かり合えないから。生まれも、血も、育ちも、左右される世界。そんな世界に、私は生まれてきたんだ」
すると、少女は一つ、答えを出した。
「でも、私が思っていたように、貴方は――その少女を愛していたんですね。良かったです。貴方が――人を愛してきた証拠なんですね。安心しました。姉様も、兄様も、私も――生き地獄を味わってきたんですから。貴方も、私も、似た者同士ですね」





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