忠義と理想について

*石動についてよくない描写があります

俺の攻撃を受け、死の淵に立たされながらも――奴の言葉は、存在理由を消された部下を思い出した。

「まだ分からないのか。奴の語る理想の犠牲になっていると言う事が!?」
『例え…流血の先だとして…も…准将の…元でなら…夢を…見る事が…出来た…ギャラルホルンに…所属をしていても…私のような…コロニー出身者は…明日の夢も…見られない…此処は……そういう世界だ…生まれながら…ボードウィンの名を…持つ貴方には…わかるまい…私は…准将…』

そして、彼は事切れた。

「本当、忠義をしても、彼の見る理想の世界を夢見た彼の死を否定するって、あんたも成長したわね」
ヤマジンはそう言い、キマリスヴィダールの整備の指示をしていた。俺は彼女の方を振り返り、彼女は再び語り掛ける。
「忠誠心って言うのは、理想や夢に心酔しているからこそ、生まれるものなのよ。これはあたし個人の感想なんだけど、共に歩むだけが、友情とは違うのよね。共に歩むからこそ、見える景色が違う。友情と言うのは、気休め。友情と言うのは、結局は死んだり、裏切られたりで終わりを迎える。共に歩む景色は、さぞかし薔薇色でしょうね」
「友情…そうだな、俺も、奴とは一度は友情ではなく、共に歩むことを誓った。けれど、それは友情でしかなかった。結局は、変わらなかった」
そうだ。結局は友情でしかない。だから、俺は友情と共に歩むことは、違うけど、似て非なる。それを教えてくれたのは、アインだった。
「でも、あたしは忠義って言うのは、興味あるわ。忠誠を誓い、共に歩んでいく景色を共に見る事が出来る。そして、マクギリスの語る理想――即ち、光の道は気高くて、彼にとっては威光でしょうね。けど、あんたはそれを否定した。分かる?そんな理想など、結局は夢物語(フェアリーテイル)。それを教えてくれた――Type-E、いや、アイン・ダルトン三尉は、あんたの目を覚ますきっかけとなった。皮肉よね。彼の存在理由を抹消され、否定された事が、あんたの目を覚ます事になるなんて。さぞかし、その大剣使いのMSのパイロットは――マクギリスの気高い理想に夢見ていたんでしょうね」
「そうだろうな。俺も、奴の理想に夢見ていた。しかし、アインが俺を変えてくれた…いや、アインの死を利用されたのが、俺の夢を覚ますきっかけとなったのだろうな。革命軍の青年将校は、昔の俺の生き写しだ。結局は、同じ事の繰り返しだろうな」
そうだ――彼は、純粋に忠誠を誓ったアインとそっくりだった。けれど、俺と触れ合う事で――差別されずに、クランクと俺に出会えた事で、世界に絶望せず、魂は屈せず、腐らずに生きてきた。あいつは――世界に絶望して、マクギリスの夢を、理想を、純粋に夢見ていた。
「あたしはこう思うわ。彼の忠誠心は、皮肉にも――彼の死で表される事になった。忠誠心は、彼が死んだ後も――生き続けている」
「まるで、アインとそっくりだな。アインが死んだ後も、俺の中で生き続けている――いや、キマリスヴィダールの中で生き続けている」
ヤマジンは「成程ね」と思い、話を続けた。

「――で、あんたはそのパイロットと、何を見た訳?」

『私の願いはただ一つ!准将が作り出す未来を見る事だ。その礎になれるとしたら本望と言うもの!』

「――夢と言う名の、理想と言う名の呪いだ」

使



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