Door

*蒼/き/雷/靂/ガ/ン/ヴ/ォ/ル/トのダブルパロ
*世界観共有しています
*とあるキャラ視点。
*if

厄祭戦で、この日本も大きく打撃を受けたが、皇神グループも 日本を建て直したもんだ。と俺は思った。皇神グループは、この日本を牛耳っている会社で、よくない噂が飛び交う。やれ人体実験をしてるやら、やれ第七波動能力者を過酷に扱ってる(第七波動って言うのは、いわゆるゲームやアニメに出てくる超能力者みたいなもので、厄祭戦以前のUSAの漫画で言うならミュータントポジション)という噂がある。俺達はそんな第七波動能力者を救うために、レジスタンス活動を行ってる。まあ、天才である俺なら世界を救えるヒーローになるかもしんないけど。さっきの同僚からは「貴方は調子に乗りすぎよ」とどやされてしまったけどな。
で、俺は今──とある大物と、レストランで話をしている。大物?馬鹿言え、ハリウッド超えしてる、あの厄祭戦を終わらせたセブンスターズの一人、ラスタル・エリオンだ。ギャラルホルンのお偉いさんが、何で俺と話をしているのかっていうと、俺たちの『リーダー』が、ラスタルと直接話をしたいから、コンタクトを図ったって。で、結果は成功かと言うと、とあるレストランで話をしたいから、ととんだ約束をしてしまった。恨むよリーダー。と俺は思ったけど。
「で、お前がリーダーの代役と言うわけか」
「まあ、リーダーが忙しくて手が離せないから俺が代役で来たと言うわけさ。ただ、どうしてセブンスターズの大物が何で態々日本に?俺は其処が疑問なんだけど?」
「少し、皇神グループと話をつけに来た。それに、こいつが態々、日本の文化に触れたいと言っているからさ」
そういうラスタルが目をつけたのは、大層無愛想な、金髪の子供だった。身の丈に合わないカーキのコートを着て、物欲しそうにチョコレートパフェを見ている。
「そう言えば、こいつは誰なんだ?」
「ファリド家の妾の子だ。中々骨のある優等生でな、子供なのに冷たくて鋭い瞳をしている」「ファリド…確か、同僚から聞いたんだけど、当主が養子縁組をしていて、孤児院を開いていたっていう噂を耳にしたんだけど」
ビクッ。金髪の子供が、怯えるような表情をした。俺は何もやってないぞ、何も。
「貴族は、闇が深いのさ。罪もない子供が、欲の捌け口にされたり、虐待を受けたり──歪んだ愛情を見せつけられたり」
確か、同僚が「ファリド家の当主は、金髪の子供が大層好みだったらしいわよ。あまり、いい噂を聞かないけど」と言っていたな。
「当主とは、話をつけている。俺を睨んでいたが、あいつの事だから、また新しい子供を見つけるだろう」
「大変だな、貴族様ってのは。俺達とは別次元の話だぜ」
結構、貴族様の闇を見た。ファリド家の当主は変態か何かかよ。俺はオレンジジュースを飲みながら、ラスタルと話を続けた。
「確かに、こいつは結構無愛想な顔をしている。ただ、歪んだ愛情を受け入れるのは無理だったようだな。第七波動能力者も火星やコロニー生まれだから、と言って狩られる側に回るのは、ナンセンスな話なんだが」
「結構、俺達は皇神グループに抵抗しているんですよ。貴方方とは無縁の話なんだけどな」
結構、大変な話だと思った。第七波動能力者の割合が若い子供や少年少女で、差別されたり、皇神に捕縛される事もある。火星人、コロニー生まれも、生まれで差別される。何と言うか、恐ろしい話だ。差別って言うのは、恐ろしい。
「性欲の捌け口にされ、理不尽な暴力を受け、結局は、愛されない子供がどこに行くかは分からないが、闇の底から救い出せば、悲劇的な結末は変えられる。そうとは思わないか?」
「アンタの話は結構難しいな…でも、第七波動能力者も、そいつと同じく、酷い目に遭っている。取り返しのつかない事態になる前に、彼らを助ける努力はしているつもりさ」
「そうだな、一つ、例え話でもしてみないか?」
「例え話?」
「炭坑でレールを工事している人たちが居る。彼らが気付かない内に、トロッコが工事している人達に向かって激突しそうになっている。それを見た一般人の人たちが大声で避けんでも、工事してる人には気付かれない。彼らを、どう助けると思う?」
「え、全然わからないけど」
「答えは、一般人の一人をレールに突き落とす」
「…それだと、一般人の人が死んじゃうじゃねえか!?」
「確かに、死んでしまうかもしれない。が、大勢の人たちを救えるのなら、それで良いのではないか?大勢を救えるのなら、我々は一人の犠牲を鵜呑みにしなくてはならない。こいつが欲の捌け口の犠牲になれば、大勢の金髪の子供が救われるようにな」
「──イカれてる」
「だろうな。だが、犠牲は不可欠な話だ」
なんだよ、その胸糞な話。俺はため息をついたが、ラスタルは金髪の子供に話しかける。
「マクギリス」
マクギリスと呼ばれた金髪の子供は、一冊の本を出した。それは、古びた書物だった。確か、本は大層高価だったような。
「アグニカ・カイエルを知っているか?」
「アグニカ…ああ、あのギャラルホルンを創設した英雄だろ?」
「こいつはそんな英雄に憧れていてな、家を出るとき、この本を持っていって…旅をしている時も、手放さなかった」
「ふーん」
「似非英雄がいる限り、争いは終わらない…厄祭戦以前のオセアニア連邦のとある書物の言葉だ。アグニカ・カイエルのような、英雄がいる限り、あらそいは終わらない。終わることはない。アグニカの意思を受け継ぐものがいる限り、争いは永遠に終わることが無い」
「話が段々スケールアップしてきましたね」
「そうだろ?こいつも英雄の意思を受け継ごうとしているのさ。辛い現実から逃れるために、理想を夢見る」
こいつは、一体どんな修羅場を潜り抜けてきたんだろう。俺はそう思った。

「──辛い現実から、逃れるためには、理想を求めることが必要だ」

その後の帰りの路地、ラスタルと、あの金髪の子供について、考えていた。
金髪の子供は、あの目は、人格のない瞳だった。彼は、その書物に出会えたからこそ、『マクギリス』が生まれたのだろう。俺はそんな風に思い、家路についた。



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