どこかで、誰かの歌が

*石動の言動を否定する描写があります。

彼はコロニー生まれだった。コロニーに生まれたから、差別を受けてきた。夢のない日々、光の無い世界、覚める事の無い死んだような日々。あいつの姿を見て、俺は一人の人間の姿を見た。彼も、火星の血と地球人の血を引いているハーフであり、火星人にもなれず、地球人にも慣れないアンバランスな存在だった。けれども、愚かしいほどに、美しい復讐を掲げていた彼は、あいつと同じように上官に光を見た。持つ者と持たざる者、無い者と持つ者、その差は愕然だった。しかし、そんな彼は俺に希望の光を持ったように、俺を慕うようになった。愚かしいほどに美しい理想――友と、共にギャラルホルンを変えようとした願いは、あの日無残にも打ち砕かれた。エドモントンの悪夢、醜くも残虐な悪魔、赤い瞳、二振りの斧を持った殺人鬼。何とでも言え。と舌打ちをしようが、彼の誇りの為、何も言わなかった。そいつも上官に従い、理想を掲げていた。礎となるのなら本望。と言っていた。彼もギャラルホルンの腐敗の礎となったのだろうか。と俺は思っている。恐ろしくも、悲しいほどに。奴に夢を見た。理想を掲げた夢を――でも、それを教えてくれたのは、彼だった。彼は、ギャラルホルンの礎となった。腐敗の礎となった。けれども、もう見てしまったのだ。俺や彼女を切り捨ててまで、階段の先にある夢を。だが、奴の理想を掲げて礎となってまでも、お前は夢と言う名の幻想に惑わされているのか。俺も、夢と言う名の幻想に惑わされている。其れを教えてくれたのは、彼だった。なあ、知っているか?あいつの理想は、恐ろしくも狂っているが、美しい。けれど、ガラスに傷が出来るように、理想に傷が付ければ、何も出来やしないだろう。俺は覚めてしまった夢をもう見る事はない。理想と言うのは、伽藍のように空しいだけだ。それを教えてくれたのは―‐お前だったんだろう、アイン。

beautiful worldend Underground



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